28ポイント目「黄昏」
異界迷宮につくと同時にもう一度泣こうとした泣少女に時空間魔法の”結界”を発動させた。
”結界”の中で泣いたがこちらへは声が漏れていない、そして不思議に思ったのか泣き止んだ。
それを確認したうえで”結界”を解き、すぐに短剣を逆手に持ち下から袈裟斬りをしかける。
効果はてきめんでバッサリと斬られた後で薄汚れた布と魔結晶を水に落とし消え去った。
「 シンジ!!大丈夫か? 」
「 大丈夫です!!それよりも”射蓮”を!! 」
ガトリングのような部分をこちらに向けていた射蓮から圧縮された水が鉛玉のように何発も発射された。
5匹いるすべての射蓮から横なぎの雨のような水弾の嵐が襲ってきた。
威力はそこまでないが打撃力はあり鎧をつけていない部分は特に痛い。
「 くそったれどもがー!!だからお前らは嫌なんだよ!! 」
あまりにも多すぎる物量と足場の悪さでケインさんもうまいこと回避しきれず何発も水弾をもらっていたようだ。
「 ケインさん任せてください!! 」
そう声をかけるとすぐに時空間魔法”瞬間移動”を使い射蓮の裏に回り込み短剣で伐り付けていった。
いきなりの事に咄嗟の対応ができない射蓮のガトリング部分の付け根を伐り付けていった。
5匹ともこちらへの対応が整ったのか水弾を撃とうとしたが伐り付け傷口のパカッとなっているところから水が駄々漏れでまともに水弾を撃てる奴はいなかった・・・
「 ナイスだシンジ!! 」
ちょっとキレていたケインさんが5匹を見つめながら移動を始めた。
「 武気・カウントスラッシュ!!ひとつっ!! 」
光を放つ刃を目の前にいた射蓮を斜めに伐り付け移動しながら
「 ふたつっ!! 」
下から輝く刀身を返しながら斜めに伐りあげた。
「 みっつっ!! 」
少し後ろに下がりながら大きく真横にいた射蓮を振り抜けながら
「 締め!!よつっ!! 」
そう言うと並んで立っている射蓮の間を斬り抜けた後で輝きが消えた剣を射蓮の体液を落とす為に大きく振ってからカチンと音を鳴らし鞘に納めた。
ジャポジャポ音を立てケインさんが斬り捨てた”射蓮”達が水に沈んでいくなかケインさんは”武の礎”に囲まれ白く輝いた。
水蛇はいつの間にか消えていたようだ。
”魔物知識”で覚えた知識の中でももともと好戦的な魔物ではないらしいので逃げたのだろう。
倒した泣少女と射蓮の戦利品を手早く”箱”へと収納した。
「 あの回り込んだのは魔法か?あれが使えるなら”武気”がなくても十分戦闘できるんじゃねぇのか? 」
「 あれは”切り札”みたいなもんですよ。多用していいものでもないと思うので・・・ 」
「 確かに”頭いい奴”が相手だと見切られる可能性が出てくるもんな 」
そう言うと二人で足を水に浸しながら歩き出した。
そこでケインさんにお願いして採取をさせてもらっていた。
「 クドリ草にクルーテ蘭・・・おお、ミドリモケケ菊まである。後はあれか・・・ 」
その視線の先には剣山のよう生えている長めな緑色に揺れる植物があった・・・
「 まさか、”い草”があるとわ・・・ 」
すべての植物を根っこから土付きで採取しケインさんと一緒に階段話を目指し歩いて行った。
そのあと特にエンカウントすることもなく30分ほどで次の階段を見つけ次の階へ向かう。
ついた階は一見普通の町中だった警戒しながら近くの建物に入り扉を閉め建物の中を確認してからケインさんへ休憩を提案した。
「 ふう、ここらで少し乾かしてから進みますか? 」
「 そうだなちょっと靴の中グチュグチュして気持ち悪ぃもんな・・・休憩するか 」
そこでケインさんと俺の靴を脱ぎ生活魔法で”乾燥”をかけ、その間に"箱"から朝仕込んでいた物を取り出し建物の中にあったテーブルの上に広げる。
木製ジョッキに朝のお茶の残りを入れテーブル前の椅子に腰かけていた剣の手入れをしていたケインに渡した後で声をかけた。
「 少し遅めのお昼でも食べますか 」
「 おっ、ありがてぇ・・・あとここは夜が本命だからそれまで休むぞ!!そういやあのスライムはどうした? 」
「 ああ、”ハク”のことですか。とりあえず”箱”の中に入れてますよ危ないかもしれないので。”箱”の中はエサが大量にありますし・・・俺達も早く飯にしましょ 」
すこしケインさんに嘘をつき朝の残りのパンケーキもどきにレモンベリーとハチミツを混ぜた物を挟んだものと一緒に食べゆったりとした休憩をとっていた。
その後で少し仮眠をお互いに取ったら外はすっかり黄昏に染まっているようだ。
「 さてと・・・そろそろ”奴ら”の時間だな・・・ 」
そう言い外へ出ていくケインさんの後を追い建物から出たところで急に気持ち悪くなった・・・気持ち悪さを抑えて外に目を向けると・・・いた。
黄昏に染まる町の中をおびただしい数の”奴ら”が体を大きく揺らしながら歩く。
そう、ここは不死魔物の街のようだ・・・
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