3ポイント目「サヴァイバル始めます」
気づくと自分の目に飛び込んできた風景は綺麗な湖とその横にあるくたびれた小屋だった。
流石に自分の今いるところがわからない以上拠点と道具は必要だろう。
そう考えた結果くたびれた小屋を散策することにした。
「 けほっけほっ・・・やっぱり埃っぽいか。 」
空気を入れ替えようと暗い小屋の中を確認するガラスがはめ込みになっている窓がなくついたてで開くタイプの窓のようだ。
窓を開け少し明るくなった小屋の中を見渡す。小さい簡易テーブルと簡易のキャンプファイヤーが埃をかぶっていたが使えそうだ。他には少し錆び付いたナイフと100円ライターくらいのサイズの空き瓶が4つそのうち2つは割ているようだ。
ガラスがあるのは確認できたそれに小瓶を作れるということはそれなりの技術力はこの世界にもあるらしい。こじんまりとした小屋の中には他にめぼしいものは・・・と探していると簡易キャンプファイヤーの中から煤まみれの鉄製の串を見つけた。
そこまで確認すると”スキル”を確認し始めた。
「 ”アイテムボックス””身体能力強化””サヴァイバル””薬草学””動物学””鉱物学””料理””解体術””神の祝福”はパッシブスキル。”状態可視化””生活魔法”がアクティブスキルか・・・ 」
ステータスを確認するLV3HP20/20MP50/50STR10・(+5)VIT3・(+1)AGI6・(+2)DEX12・(+4)INT8・(+4)
頭の中で”アイテムボックス”と思うとアイテムボックスの中身が頭に浮かぶ白いTシャツ×5・Gパン・ミリタリーブーツがボックス内にあるらしい早速ボックスの中から取り出すと来ていた制服と革靴をアイテムボックスに収納して取り出したTシャツとGパンとミリタリーブーツに着替えていく。
Gパンのポケットに錆びかけたナイフと空いたガラスの小瓶2個を突っ込んだ。そして小屋を出て行った。
ふと小屋をみた・・・湖の近くにあるという好立地がなぜ見捨てられているのかを・・・まぁ、考えられるのはこの場所自体が人の住む場所から離れているか住めない状況になったかってところだろう。
できるだけ日が暮れる前に小屋まで帰ろうと思いつつ使えそうなものを物色していくシンジ、湖の近場で早速いいものを見かけた。
「 トレモ石・・・これは砥石として使える。おっ、カケット石、これは硬度が高いのか・・・木の実を潰すのに使えそうだな。 」
湖畔でトレモ石を20個とカケット石を10個。他に微量の金属を含む石を多数見つけた。取得していたスキルの”○○学”は異世界・・・この世界の薬草・動物・好物に適用されていることに意外なことに気付かなかったシンジであった。
結構な数になった石をとったはいいがどうするか?と考えて、ふと”ステータス”を開き”スキル”を展開させた。その中の”錬金術”スキルにポイントを振り分けたそのポイント数3000ポイント一気に”錬金術LV5”まであがった。
「 さてと・・・さっきの石に”錬金術”を使ってと・・・ 」
先ほどの金属を微量含む石を”錬金術スキル”で全てを”理解・分解・再構成”の”錬金術の理論”のもとにただの石と金属とに分かれる。
スキル発動時に少量のMPが消費されたのが体感として実感できた。ステータスを確認するとMPが48/50となっていた。これでMP2消費か・・・
「 出来たっ・・・ってえええ? 」
出来た金属を見てビックリした
「 これ・・・ミストル銀・・・ 」
ミストル銀・・・この世界でも希少な金属である。その効果は金属の状態から付与魔法の”対不死”がついていることにある。
「 あちゃー・・・やっぱり魔物とかいるのか・・・ 」
”対不死”を確認すると魔物がいるという裏付けになる。まあ、この金属を含む鉱石がごろごろしているということはこの場所に不死系の魔物が出てこないという裏付けになってはいるのだが。
気を取り直しシンジはミストル銀とナイフを手に取り”錬金術”を使ってナイフのサビ部分を分離させ刃の部分にミストル銀をコーティングしていく。
こんどはMP40/50となっていた。錬金も工程で消費が違うのか・・・。
「 よしっ完成!! 」
ミストルブレードナイフ:刃にミストル銀を使用しているナイフ。付与効果・”対不死”不死系の魔物に対し絶大な効果有り。
うん我ながらいい出来だ。そう、シンジは自画自賛したナイフをアイテムボックスに入れた。そして”スロット1”にナイフを登録した。
スロット・・・登録しておけば番号を口に出すかイメージするだけで登録しているアイテムを取り出しできるシステム。さすがはアイテムボックスLV10の効能というべきか・・・
すぐさま頭の中で”スロット1”と念じると手の中にナイフが現れたのを確認したスキルの精度はバッチリだ。
そこまで確認すると次にもう一度”スキル”を呼び出し”短剣術”にポイントを割り振る。
「 よし、これで魔物が出ても大丈夫だな。 」
そう言いつつナイフを片手に基本の型を一通り試していく。
型を一通り確認して納得してナイフをアイテムボックスに入れなおそうとした瞬間、茂みからゴソゴソという音が聞こえたのでナイフを右手に持ち右腕を前に突き出し脚を開き体制を整え身構えた。
そして茂みを凝視して出てきたものに目を奪われた・・・
「 か・・・可愛い・・・ 」
出てきたものは狼の子供だった。
「クーンクーン」と可愛い声で鳴いている。
「 どうした?親とはぐれてしまったのかい? 」
子狼を抱き上げると辺りを見回した。近くに親がいそうなものだがわかる手段がない・・・
子狼をよく見てみて「あっ」と気づいた子狼の右後足から血が流れているのを。
応急手当をしようと森の中へ入っていった。
入ってからしばらく歩いたところで近くを見渡すとヨモギのような形の葉っぱが眼に入った。
「ソクサンの葉か・・・カケット石を大きいのと小さいのを取り出して・・・」
ソクサンの葉を大きいカケット石の上に置き小さいカケット石で葉を潰していく。
”アイテムボックス”の中から制服の上着を取り出しポケットの中にある蒼いハンカチを取り出した。
”生活魔法”で水を作り出し怪我の場所を綺麗に洗浄した後で先程潰したソクサンの葉を怪我した場所にあてその上からハンカチを軽くズレない程度で右後足に巻いていく。
薬草が傷にしみたのか「クゥーンクゥーン」と子狼が悲しげな声を出している。
「 さてと・・・お前の親はどこにいますかね? 」
シンジはそう言うと子狼の頭をナデナデしながら胡座で地面にドカっと座った。
子狼はシンジになれたのか尻尾をフリフリさせている。
子狼の可愛さに自分のお供になってくれないかとおもい”スキル”の”手懐け”にポイントを振り分け”手懐け”レベルを5まで上げた。
孤狼を手懐けようと思って子狼に”手懐け”を使おうとして手を伸ばした。そこまでしてふと後ろに気配を感じ振り返った。
「 あっ・・・どうも・・・。 」
今にも飛びかかりそうな形相で牙を剥きながらこちらを向く狼の集団がいた。
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