22ポイント目「朝ごはんとゴブリンと石煉瓦の回廊」
朝、他のメンバーより早く起き水樽に”生活魔法”で水を溜めた。
そこから木桶を使い水をすくって顔を洗う。
昨日の夜の内に昨日の夕食の片付けは済ませていたので逆さに置いて乾していた甲羅鍋を2つ”箱”の中に収納し残った一つを逆さの状態から戻し朝食の準備に取り掛かった。
実は警報鶏から手に入っていたスマホサイズの卵を取り出し割り昨日使っていたパンの原料の粉と混ぜ合わせていく。
途中で”箱”から泡石を出しカケット石で削りながら少量を加えてさらに混ぜてタネを作った。
そこまで作ってからかまどに火をつけ弱火で気をつけながら甲羅鍋にタネを流していく。
大きな植物の葉で蓋をしてフワフワふっくらと焼きあがった大きなパンケーキを大皿に盛り昨日のテーブルの上に置き甲羅鍋をかまどに戻し水を入れ沸騰させる。
キリデミントの葉とソレメモドキの葉を生活魔法で乾燥をかけ小樽の中に入れた。
そこまでしてから再度テーブルを見るとセリスさんとケインさんが起きてきていた。
「おはようございます。ケインさん・セリスさん」
「おう、おはよシンジ。」
「シンジくんおはよう。」
「大樽に水溜めなおしたんでよければお使いください。」
そこまで言ってから鍋がグツグツしてきているようだったのでジョッキを使い先ほどの小樽の中にお湯を入れていった。
いい具合に湯気を立てる小樽をテーブルに置き皿を人数分と三つ又木匙とジョッキを置いていく。
まだ甲羅鍋に残っているお湯の中に昨日の残りのスパイスが揉み込まれた警報鶏のモモ肉を全て投入していった。
昨日使ったように2本の木製の矢のシャフト部分を簡易菜箸にしてモモ肉を木皿にあけレモンベリーを絞り和えていく。
そしてテーブルに振向いた時全員席についていた。
「おはようございます、スコットさん・ジョンさん・ボブさん。」
「シンジ朝飯作ったのか早く食べさせろ」
「スコット少しは遠慮しろって、シンジおはよう。すまないね朝飯作ってもらって。」
「シンジおはようさん!!このボリュームある大皿の黄色いやつなんなん?」
ナイフを取り出しパンケーキを6等分に切り分けたあとで蜂蜜を回しかけた。
小樽を手ぬぐいを重ねたものではさみながらみんなのジョッキに簡易ハーブティーをいれていく。
そしてナイフと三つ又木匙を使い全員の皿に切り分けたパンケーキを置いていく。
自分の席に戻り
「まっ、全員そろったんで朝ごはんにしますか。」
おもいおもいにみんな感想を述べながら食べていく。
「このふっくらしたのうまいな。」
「蜂蜜なんて良くそんなに大量に持ってるのね。結構な金額するはずなのに、まあそれは別にしてもこの黄色いの美味しいわね。」
「おっ、この酸味が効いとる鶏肉も美味いな。俺はこのお茶もすきやで。」
「甘い物と酸味効いた物、そして風味のいいこのハーブティーバランスが凄くいいな。」
「うめぇ・・・うめぇ・・・(がつがつ)」
そんないい雰囲気の食事風景をとても嬉しく感じながら朝は過ぎていった。
「次も一緒ならそのまま進んでいこうぜ。」
「ああ、そうなら楽なんですけどね・・・まあ、なるようになれってことで。」
「シンジ昨日の夜の飯のレシピありがとうな。今度埋め合わせでもさせてもらうわ。」
「シンジ君、昨日も今日もご飯ありがとうね。また、シンジ君のご飯食べたいな・・・なんちゃって。」
「シンジ飯美味かったぞ。また食わせろよ。」
スコットさん達は
「また今度な!!」
といいつつ階段を目指して歩いていった。
こちらもスコットさん達のパーティーと同じに階段を探しに探索に向かった。
途中で植物を見つけて有用そうな物は採取していった
「シンジ道草文字通り食ってると早めに帰れないぜ?」
と言われたが反対や呆れた声でなく言葉のとおりの帰還日数を考えての物らしく採取した物と使用例を言うだけで
「おっ、そうなのか・・・ポーションや傷薬作ったりしたら俺にも分けたりしてくれよ!!」
と言って納得してくれたりしていたので心配ないだろう。
途中魔物に会うこともなく採取を続けていったりした。
そうこうして2時間ほど散策していると階段を発見した。
「行くぞ!!」
「はい!!」
3階に降りた瞬間に感じた不快感・・・石煉瓦で作られた回廊を漂う独特の臭さ・・・ケインさんの説明ですぐに理解した。
「やっぱり臭いな・・・ここは・・・」
「ケインさんここは?」
「通称・汚物路。ゴブリンの住処だよ。」
「ゴブリンって?」
「緑や茶色の色したガキ位の大きさしかないモンスターだ。人に見えるが人じゃないから安心しろ。」
「強さ的にはどうなんですか?」
「そうだな・・・昨日の恐竜に比べりゃガキと大人くらいの差だが最低でも2匹以上でつるんでるから数に物言わせられたら結構きついな・・・」
「そうですか・・・」
「いい機会だ。ここは死角が多い、それを使っておまえの力量を見せてみろ!!ほんとに困ったら手、貸してやるからよ!!」
「はい、がんばります。」
薄暗く臭い回廊を歩きつつ周りを注意しながら話していたがそこまで言うと肩をバンと叩かれた。
「あと一つ忠告だ・・・」
「何ですか?」
「ゴブリンは使える素材が何もない。たまに出てくる魔結晶くらいだ・・・死体はそのままでもいいんだぞ?ゴミ以下だから無理に”箱”に入れなくてもいいからな。」
「は・・・はい。」
それから5分ほど回廊を歩いていると大きな部屋に出た。
そこですぐにケインさんがこちらを振り返り手で止まれの合図をしてきた。
よく耳を澄ますと部屋の中央に置かれた瓦礫の山の向こうから音が聞こえる。
「めんどくさいとこにきちまったな・・・」
「あれは?」
「あれはゴブリンの習慣”弱者嬲り”だな。ゴブリン以外の種族のオスを数に物言わせてじわじわ攻めるんだ・・・」
そこまで聞くと”箱”から弓と矢を取り出し俺は音のする方へ一目散に走り出していた。
「どう見ても”いじめ”じゃないか!!」
血が滾るのを自分自身で冷静に感じながら薄暗く臭い石煉瓦で出来た回廊を駆けていった。




