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2ポイント目「一人旅始めます」

 ドラゴンが飛び去っていったあとでまた頭の中で声が響いた。


 

 「 貴様らの世界と違うのはわかってもらえたようだな。 」



否応無しに先ほどのドラゴンを見れば理解できるであろう・・・

風が吹いたのか木々のサワサワといった葉ずれの音が響いている。


 

 「 貴様らの言いやすいように私の名前を教えるのならば”ヴォルドー”と呼ぶが良い。 」



大山たちが即座に質問し始めた。

こいつらには遠慮というものがないらしい。


 

 「 ここは結局どこなんだ!! 」


 「 俺達がどうしてここにいるんだ? 」


 「 お前は俺たちをどうするつもりだ!! 」



またしてもギャーギャー言い出す大山達・・・

なんだろうか相手への気遣いというものがないのだろうか?


 「 騒ぐなと言っておろうがガキどもが!! 」



喝を入れられ物怖じする馬鹿野郎ども・・・

その心情を知ってか知らずか話し出すヴォルドーさん。


 「 一つ目の質問の答え。ここは”ウォーレン”という国にある”モグリスの森”だ。二つ目の質問の答えだが貴様らのいる理由だが私が貴様らの世界から拉致ってきた。最後、貴様らをどうするかという質問だったな・・・それは貴様らにこの世界を冒険して欲しいのだ。 」



予想の斜め上の質問が帰ってきた。前の2つはどうでもいいとして最後の質問の答え・・・この世界を冒険して欲しい?

少し考えているとヴォルドーさんがさらにこちらへと声をかける。



 「 なに、貴様らのそのままの状態でこの世界を冒険しろとは言わない・・・よし、これで貴様らに届いたな。 」



いきなり目の前にRPGゲームのステータス画面的なものが出てきた・・・

よく見ると”ステータス”のタグの隣に”スキル”というタグも浮かんでいる。

そしてよく見ると自分の名前の下に”称号”と書かれている。

ますますRPGじみている。

ここでとあることに気がついた周りがやけに静かすぎる・・・さっきまで聞こえていた葉ずれの音も聞こえない・・・

「あれ?」と思うとヴォルドーさんが静かにこちらに声をかけてきた。



 「 君の名前を聞かせて欲しいのだが良いかな? 」



こちらへたずねてくるヴォルドーさん。

ヴォルドーさんの力があるのならば俺の名前を知ることなんか容易たやすいはずなのに・・・


 

 「 それは君から直接聞きたかったからな・・・まぁ、聞かなくてもわかるのだがね?モリサキシンジ君。 」



やはり名前を分かってるじゃないかヴォルドーさん・・・


 

 「 いま君に説明と時間をあげるために周りの時間を止めているよ・・・同じことはそう何回もできないからな世界に作用する事象を起こすには私も結構消耗をするから。さて本題だが君のステータスを見てもらえばわかると思うがこの世界で冒険してもらうに当たり君達への救済策としてわかりやすいようにRPGのような現状表示とポイント制による”スキル”を覚えられるようになっている。 」



やはりあの"スキル"は想像していた通りのものだったらしい・・・

やはり地道にコツコツポイントを稼いで行かないといけないのだろう・・・と考えているとヴォルドーさんが



 「 ポイントはその人物が何をなしたかで増えていく・・・まあわかりやすく言うなら”クエスト”や”チャレンジ”をいくつこなしたかでポイントが増えていくのだがな。”ステータス”と念じればすぐにステータス画面が現れる。君のポイントを確認してみるといい。 」



そう言われて”ステータス”を出し”スキル”を確認するそこにポイントが表示されていた。



 「 5万3千・・・これは多いのかな? 」


 「 そうだねこの世界の一般人の生涯獲得ポイントは平均で10万だからね。 」



今の時点でこの世界の生涯獲得ポイントの半分を所持しているのか・・・

ある意味チートじゃないのか?と思ったがヴォルドーさんが説明してくれた。


 

 「 君たちの元いた世界は”マナ”が限りなく薄い・・・こちらに比べたらポイント習得率も2倍以上あるしね。さて、必要最低限のスキルはこちらから君の所持ポイントを消費して君に習得させてもらったよ。”アイテムボックスLV10””身体能力強化LV5””サヴァイバルLV5””薬草学LV5””動物学LV5””鉱物学LV5””料理LV5””解体術LV5””状態可視化LV10””生活魔法LV5”後、私からのおまけスキルもつけておいたよ。でここからが話なんだがシンジ君一人で旅をしてみたくないかい?こいつらと一緒ではなく・・・ 」



確かに最近ここではないどこかで自分のことを知らない人のいる場所を旅してみたいとか思ってはいた。しかも、大山達とは別の場所と来たら二つ返事で「OK」を出していいともう。


 

 「 やはり私の考えはあっていたようだ・・・君は子供の時から色々と苦労をしてきて世間・・・いや、世界に対して希望や好奇心がないようだけどここは違う。 」



ヴォルドーさんに言われて幼少時代を思い出した・・・物心着いた時に両親はいなく親戚の家を転々としていた、中学2年までは同じ家に1年以上いたこともなくひどい時は1週間ほどで他の家に移るなどということもあった。

それに加え転々と移動する事によって学校での授業が全く分からず受験もギリギリの学力だった。中学2年の2学期からお世話になった、母方の親戚筋である「石橋家」にお世話になってから生活が劇的に変わった。

旦那さんの貴臣たかおみさん、奥さんの貴美子きみこさん、同年代の晃弘あきひろはとても良くしてくれた。

高校2年の1学期前半までは良かった、それが変わったのは1学期後半あの現場を見てからだった。違うクラスの晃弘と一緒に帰ろうと探していた時だった。

体育館裏で何人かに囲まれてうなだれている晃弘の前に大山がいた。最初わけがわからなかったがいじめの現場だと気づき大山たちに詰め寄ったのは過去のこと・・・

それ以降いじめの対象が自分に移ったことと石橋家の人達が妙によそよそしくなってしまった。ある日、貴臣さんに呼ばれ自分に全く見に覚えのない「財布から金をくすねているのは慎司お前か?」と呼ばれ蔑んだ目で見られた・・・もちろん晃弘を信じて俺はやっいてませんなどは言わなかった。

その日以降小遣いとして使えるだけの額はない最低限のお金しか渡されないようになった。晃弘は何も言わず貴美子さんもだいぶよそよそしくなった・・・

それから「正しいことをしても必ずしもいい結果が自分に帰っては来ない、報われないことはもうしないようにしよう」と考え、世間・・・世界に対して希望を失っていたのは確かなことだ。



 「 シンジ君、君には”世界はそんなに捨てたもんじゃない”と思って欲しいんだ。 」



ヴォルドーさんのこの言葉を聞いて決心がついた。


 

 

 「 ヴォルドーさんぜひお願いします。 」



 「 了解だ・・・シンジ君、良い旅路を・・・ 」



次の瞬間、光に包まれ俺は大山達とは別の場所へ転送された。

感想等いただけると大変元気が出ます。よろしくお願いいたします。

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