特別ポイント「渇き(うえ)」
メインも早めに更新します。
「っ・・・かはっ・・・!!」
男が埃っぽい薄暗い部屋で強烈な喉の渇きで目が覚めた。
体のけだるさとどうしようもない喉の渇きの中、キッーとなる古めかしい木製の扉を開け部屋を出る。
部屋を出ると薄暗い廊下にはかなり離れた感覚で明かりが灯されているようだった。
喉の渇きを癒す物がないか廊下を歩きながら部屋があれば物色しようと男は考えた。
どれほど歩いた事だろう・・・体感時間的には5時間以上に感じているのだがおかしい事に代わり映えのしない廊下のせいもあるかもしれない。
しかも、長く歩いてきたのだが道中見てきた回廊の壁には一切扉と思われるものもなく気持ちもだいぶ落ちてきた・・・
「いつになったら変化が出るんだ・・・」
心の中でそう呟きつつ歩き続けていくと行き止まりのようで先がなく明かりもない袋小路になっていた。
「出られないのか・・・」
そう思って打ちひしがれていると足元が赤く光りだし魔法陣の形を作り出した。
気づくと男は夜の空に浮かぶ二つの月が照らす中、木がざわざわと葉擦れの音を立てる田舎道に立っている。
ふらふらと歩きながら周りを見渡すと道沿いのかなり遠いところに民家らしきものが見えてきた。
あらためて先ほどの空間から出られた事を喜びながらも助けを求めようと民家まで走りドアを叩く。
「夜分にすみません、私・・・バート・フォン・ミリセチア。ミリセチア家の長男ですがここがどこか教えていただけませんか!!」
木製の扉が開き片手斧を持った男性がいぶかしげに顔を見た後に慌てて扉を大きく開き
「バート坊ちゃま、どうなされたのですか!!」
といいつつ家の中に招き入れた。
「リーネお水を。」
「はい、父さん。」
リーネと呼ばれた娘が木製のコップに水差しから水を注ぎ自分の父へと手渡した。
「バート坊ちゃま、喉がお渇きでしょう。すごい喉が渇いてそうなお顔をされていますよ。」
「すまない、お心使い感謝する。」
バートはコップを受け取りテーブルの前の椅子に静かに腰かけた。
それからこれまでの経緯を話していった。
親父さんは話を静かに聞きながら
「誘拐・・・いや、、もしかされると他の貴族の方の嫌がらせですかね?」
黙って暗い顔を下げるバートを見た親父さんは気を使いながら優しい声をバートへかけた
「お館まで戻られるようにすぐに近くの馬屋にでもいって馬をお借りしてきましょう。」
「重ね重ねすまない」
「いいってことですよ。リーネご無礼のないようにな。」
そういいつつ夜の路へと親父さんは駆け出して行った。
静かになってあらためてコップを手に取り喉を潤そうと水を飲んでいった
「ゲボッ!!ゴッフォゴッフォッ・・・」
飲んだ水を口から吹き出すとともに喉を灼く痛みが強烈に襲ってきた。
「大丈夫ですかバート様!!」
「ああ・・・大丈夫だ!!」
心配で駆け寄ってきたリーネを心配させまいと気丈に振る舞うバート。
床を濡らした水を掃除しようとリーネが屈みバートの目の前に綺麗な白い首筋があらわになった。
ドクン・・・ドクン・・・ドクン!!
バートをどうしようもない喉の渇きが再燃する。
「抗ウナ・・・渇キヲ・・・癒セ!!」
バートの頭の中をこのセリフが埋め尽くしていった。
「えっ!!バート様、戻した水に血が混じって・・・」
そこまでしか言えなかったなぜならばその次の瞬間リーネの白い首筋にバートの牙が突き刺さったからである。
失禁しながらビクンビクン震えるリーネ・・・
自分の胸元が真っ赤に染まっていくことも気にせずバートは甘美な女性の血を飲んでいく。
この日の夜ミリセチア子爵嶺の一つの村からヒトが消えた。




