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1ポイント目「呼ばれて異世界」

 「 まぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!肉ぅぅぅぅぅぅぅぅよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 」



 白いTシャツに使い込まれたGパン・茶色いミリタリーブーツの姿の青年が猪のような茶色い毛皮の動物を追い掛け回している。

森の中をガサガサ音を立てつつ先ほどの獲物を追いかけるマーキングボールを投げていたので離れたとしても場所が分かる。

息も上がってきてはいるがまだ余裕はあるようだ。



 「 ロボ!!そっちに行ったよ仕留めてもいいからね!! 」


 「 任されたマスター!!”ハウリングヴォイス” 」



ちょうど青年の追いかけていた獲物の前にいる白い毛皮に覆われた犬?が叫んだ瞬間、その猪もどきが金縛りにあったようにピキーンと動かなくなった。

その動けなくなった猪もどきの喉元あたりに噛み付くロボ、確実に息の根を止めるわけでなく血抜きのために噛み付いたらしくすごい勢いで猪もどきから血が流れている。


 

 「 おつかれさんロボ、近場に気配はないな。あとは俺が解体して飯にするか。 」


 「 了解だ、マスター。 」



そういうやりとりの後完璧に血の抜け切ったらしい猪もどきに手をかざす青年。



 「 収納ストリング・・・解体ディスマント・・・取出テイクアウト 」



青年の声とともに猪もどきが消え次の瞬間ドサッという音とともに大きな肉の塊が出てきた。

近場にあった木の枝と枯葉を集め持っていた紙に火をつけその中にほおり投げた。

先ほど出てきた大きな肉の塊から青年が200gぐらいの大きさの肉をナイフで切り出し鉄製の串に刺していく。

Gパンのポケットの中をごそごそしてから小瓶を取り出しフタを開け中に入っているスパイスを少量かけていく。

その後、串をパチパチと心地よい音をたてている焚き火に向けて地面に刺した。

その間も周囲に警戒しながらも青年の後ろに控えていたロボは忠犬のようにじっとしていた。

青年は綺麗な右手でロボふさふさの白い毛に覆われた頭を優しく撫でてから



 「 今日もご苦労様ロボ。ありがとうな、食べようか。 」



と言うといい匂いのしだした串に手をかけて


 

 「「 いただきます。 」」


というと青年が串に刺さった肉にかぶりつく、それを横目で見ていたロボも自分用に用意されていた先ほどの肉の塊に食らいつく。

暗くなりかけている森の中一人と1頭の夕食の時間は過ぎていく。





俺こと森崎慎司もりさきしんじは17才の健全な高校生男子だ。

つい一週間前までは日本の地方都市に住んでいた。首都圏でないのが少し悲しいが・・・

事件が起きたのはいつものように同級生からのいじめに遭っている時だった。

いつものように体育館裏に呼び出され、HRのあと先生に助けを求めようとしたが先生は倫理観より自分の保身に走る人らしくいつものようにそそくさと職員室に戻っていく。

その原因はいじめの主犯格・大山範親おおやまのりちかのせいだろう。

大山範親の親は地元の名士であり通っているこの学園に大きい額の寄付金をしている。

悲しいかな私立高校であるこの学園は目立った文化部や運動部もなく最近の少子化のあおりも受け収入も減ってきていたらしく右向け右で大山の親に頭が上がらないのである。

まぁ、そのことはメインの話でないのでおいておこう。


 

 「 森崎ほらこれ食えよ!! 」


 「 範親それヤバくない? 」


 「 そうそうヤバイってwww 」



場所は体育館裏。そして大山の手にしていたのは食べ物ではなく明らかにゴミのたぐいだった・・・

抵抗しようにも両腕をがっちり取り巻きに固められ出来ることは顔を左右に振るくらいのことしかできない。



 「 じゃあ、あーんしてみようか森崎ィーーーー!! 」



口に無理くりに運ばれそうになる”ゴミ”。

その時だった、グラッと周りの景色が揺れたかと思うとさっきまで見えていた体育館の壁は消え生い茂る木に変わっていた。

腕を固めていた連中も大山もそして俺も同時に思ったであろう「どうなってんだ?」と。


 

 「 えーと聞こえるかな君たち? 」



突如頭の中に直接響く声。

大山にもそして取り巻きにも聞こえたらしい。


 

 「 どうなってる、てめぇ誰だ? 」

 

 「 姿見せろ!! 」


 「 お前の仕業か!! 」



口々に汚い言葉を吐き続ける大山達。

頭の中で「どうなってんだろう?」と思った矢先



 「 えーとなんて言えばいいかわからないけど君達”日本人”でよかったんだよね? 」



頭の中に「?」が浮かんだ俺を尻目にガヤガヤ言い出す大山とその取り巻き達。



 「 てめぇ何言ってやがんだ!!俺達に”日本人”ってお前も日本語使ってるじゃないか!! 」

 

 「 そうだぞ!!それに日本人ってここは日本だろうが!! 」


 「 俺達が日本人以外に見えるのかよ? 」


 

 「 うるさいわ!!ガキ共が!! 」



ガヤガヤ言い出した大山達を黙らす一言をピシャリと言い放つ声が信じられない一言を続けざまに声に出した。


 

 「 ここは”日本”でもなければ貴様らの住んでいた”???”の治める世界”でもないわ!!ここはな、私”☆☆☆”の収める世界だ。 」



肝心の部分が聞き取れずノイズのように聞こえたがここは日本でも俺たちの住んでいた世界でもないらしい・・・

声の主の言う事を信じるならばだが・・・


 

 「 マジックか何かのたぐいだろ?自称・神様さんよ!! 」


 「 そうだぞ!!信じられるかそんな馬鹿らしい話!! 」


 「 第一姿も見せないやつの言うことなんか聞けるか!! 」

 


相変わらずうるさい三人組・・・

けど声の主の言う事が本当ならどうして俺達を異世界に連れてきたのだろう?

そう思っているとすかさず頭の中に声が響く。


 

 「 やはり素養はお主が一番か・・・ 」



ポツリとつぶやくがこの声は俺にだけ漏らしたものらしい。

他のやつらはギャーギャーまだ騒いでるようだし。



 「 貴様らここがお前たちの住んでいた世界と違うと気づくのは簡単だ、もうすぐ飛んでくるわ。 」



その声のすぐあとでバサバサと音が聞こえ空の上に影が見えた・・・

ああ、異世界にお馴染みのものですね。



 「 なんだ!!あの化物!! 」



大山が叫ぶ。取り巻きは呆然とその飛んでいく物を見ていた。

何って普通に見えてるじゃないか・・・

木の生い茂る中、空を優雅に飛んでいくドラゴンの姿を。


感想お待ちしております。

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