殺人事件-6
「だが証拠がないだろ」
「ないですね。だけどあなたが出してくれる」
「どういう意味だ?」
「これからするゲームに私が勝てば洗いざらい罪を吐いてもらうっていうシナリオが私の頭の中にあるんですよ」
ニヤつく口で言う。
すると後ろでケラケラ笑う駿が「さすが涙ちゃん!」と言いたげな目線で見てくる。
あいつ、連れてくるんじゃなかった。
「戦争でもしようと言うのか?」
「とんでもない、そんなことしたら人類一発KOですよ。ゲームは単なるシューティングゲームですよ」
「そんなもの承諾するわけが無いだろ」
「いいえ。その勝負受けて立ちますわ」
自室に戻ったはずの懍女王がいつからか、話し合いの輪の中にいた。
よし、順調だ。
「ですが、女王」
「ナイト、この勝負受けて立ちなさい。これは命令でしてよ?」
「……御意」
「そんじゃ、話もまとまったことだしゲーム説明といこうか」
これは至って簡単なシューティングゲーム。
おもちゃの鉄砲を使い、相手の体の一部にペイント弾を3回当てれば勝ち。
ペイント弾が体に3発あてればゲームオーバー。
相手に対する暴行は反則とみなす。
勝負は2対1の勝負。
鬼組からナイト。人間組から私とラティ。
これぐらいのハンデがないと困っちゃうからな。
そして必要な用具が欲しい時はペイント弾一つ、交換できる。
ペイント弾は10発しかないから気をつけて。
「場所はそこにある夜霧の森でいいか?」
「まあ、準備が早いこと」
「シナリオをスムーズに進めるのは当然のことだろ?」
「ええ、そうね。後のことはあなた達にーーー」
「待った待った。女王さん」
「…何かしら?」
「用意してもらいたい物あるんだけど」
その時、不覚にも口角が上がった気がした。