殺人事件-5
金髪を一つに結い、赤い燕尾服を身に纏っている。
世間ではこれをイケメン女子と言う。
「リドリーさん、文を出したのは本当ですか?」
「はい。瞬間移動で送っておきました」
「ナイスです。てことは嫌でも行くことになったなーーー……って逃げたな、あいつ」
シャルが消えたこと気づいた瞬間、王城の外で悲鳴が響いた。
しかもリドリーさんまでいなかった。
………捕まったな、あれ。
。。。
その夜、リドリーさんに瞬間移動で私、駿、紫、ラティ、シャルを碧の帝国に送り届けてもらった。
やっぱり馬車で行くべきだったな。駿以外、全員酔った。
シャルなんか隣でグロッキーだよ。
「わざわざ、長旅ご苦労様でございますわ。殿方と涙女王陛下」
「あんたが懍女王か」
「言葉を慎みなさい。異者の風情で」
深い海のような髪に蒼い目。美形の顔は黒いベールに隠されており、蒼い目が黒いベールからチラチラと覗く。
青と黒の鮮やかなドレスが国を象徴してるようにも見える。
「それにしてもよくご無事で。シャルロット王子」
「あ…はい…おかげさまで…」
自分を殺そうとした女王の前でシャルは蒼白している。
まあ、当たり前の反応か。
「それで御用とは何でしょうか?」
「えーと率直に言うといつも側にいるナイトさんを出してほしいんだけど?」
勘付いたのか、女王は顔をしかめた。
そしてまた嘲笑う顔を浮かべ、
「ナイト、こちらへ」
と言った。
すると王座の向こうから兜に騎士の鎧。記憶を見た時と同様顔は見えないまま。
「女王。この者達は?」
「あなたにお客様よ。おもてなしてあげなさい。私は部屋に戻りますわ」
「御意」
と女王は王座の向こうへと行った。
ナイトは下げた頭を上げ、私達に向き直る。
「で、何用だ?」
「正直にオブラートに包まずに言うと自分の罪を吐けって言いたいのですよ、ナイトいったぁぁっ!! 何すんだよ! 紫!!」
後ろから紫のチョップ。
いや確かにオブラートに包まずに言ったけども、てか宣言しちゃったけども!
あ、ヤバイ。すごい怒ってる感じだ。
「罪とは何のことだ?」
「あれだよ……げふん、あれですよ、貴族グロテスク連続殺人事件。あれの犯人あんたでしょ…あなたですよね?」
「リビリア特有の能力か」
目が隠れているから表情はわからないが、気に障ったのはなんとなく分かる。
証拠隠滅したのにバレた。とか思ってるだろうね。