輪廻とふぁいと。
学校の授業に飽きてきた俺は、教科書でバリアを作りながら携帯をいじっていた。
なぜか、クラスの違うはずの瞑さんもいたりする。
しかもちゃっかり俺の隣なんだ。
やっぱりこいつ・・・ソウイウ系の人種なのかな。
正直言って巻き込まれたくはないのだけれど・・・。
「昶君、ちょっとおもしろいことしよーよ。」
いきなり瞑さんが口を開いてきて俺はビビッたんだけど、おもしろいこととは何なのか。
気を引かれて聞いてみた。
「おもしろいこと?」
「放課後にいいかな?」
「え?あぁ・・・はい。」
どどどどどどうしよう・・・帰り道にピンク色の世界に引きずりこまれちゃうのだろうか。
いやいやいやいやそんなことはまさかねまさか・・・。
いや、でも安心してはいけない。もしこの人が本当にソッチ系なら安心していたら引きずり込まれて俺の薔薇色人生設計に支障が・・・。
うあぁぁぁぁ・・・
そんなこんなで放課後。
瞑さんに連れてこられたのは情報処理室。
今日は情報処理部もワープロ部も活動をしていないみたいで、誰も居なかった。
俺達は、勝手に情報処理室(以下、処理室。)に入ってパソコンの電源を入れた。
「瞑さん、何するんだ?」
「ふふふ。君好みの戯れをやろうと。」
「戯れ?」
「これを見てごらん。昶君。」
そう言って瞑さんが俺に見せたのは、インターネット上にあるひとつの掲示板だった。
一体この掲示板の何が戯れられるというのだろうか・・・。
「瞑さん、なんなんだ?よくわからないぜ。」
「この掲示板の内容をよくよんでごらん。以前の器を隠していた君と同じさ。」
「はぁ?」
俺は掲示板の内容をスクロールしてじっくり見ていった。
その掲示板には、明らかに悪口や、死ねばいいなどとの言葉が並べられていた。
ある一人の女子生徒に対して。
『長谷川輪廻』
「この掲示板のタイトルが俺達の学校の名前の省略で記載されているから、この掲示板に書き込みをしている相手とされている相手は俺達の学校の生徒ってことだよな。」
「あぁ。違いないね。」
「許せないな・・・。」
「どうする?君ならもちろん見逃すことはできないはずだけど。」
「当たり前だろ。」
俺は女子生徒の名前と、クラスを生徒手帳にメモを取ると、さっさと処理室からでていって調べに向かった。
長谷川輪廻・・・1の3の28番。
一体どんな子なのだろう。
俺は、3組の男子生徒にクラス写真(まぁ、生徒証に張ってる個人写真全員分)を見せてもらった。
(28番、長谷川輪廻・・・輪廻・・・この子か。)
長谷川輪廻。彼女の写真を見つけたが、いたって普通の女子高生。
肥ってるわけでもないし、気持ち悪い顔をしているとかそんなわけでもない。
(あれ・・・この子何処かで・・・。)
『あっ・・・昶君』
『・・・・・・』
『・・・何』
『あ、いや・・・その・・・すごい血出てるけど大丈夫?』
『・・・君には関係・・・ないよ。てか・・・俺といないほうが・・・いい・・・よ。』
『え?』
『嫌われ・・・るよ?』
『・・俺に・・・用はないん・・・だよね?帰るから・・・そこどいて。』
『え?!ちょっと待って!手当て・・・――』
そうだ・・・あの日、俺がまだ内気な生徒の役演じてた時に俺に話しかけてきた女の子だ。
俺もちょっとイライラしてたからあの日、無視しちゃったんだよな・・・。
謝らなくちゃ・・・。
そう思っていると丁度長谷川輪廻が教室に戻ってきた。職員室にでも行っていたのだろう。
「長谷川さん、ちょっといいかな?」
「え?あぁ・・・いいよ?」
丁度放課後だったので、俺は長谷川輪廻を連れて、近場のカフェに向かった。