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風紀のふぁいと。2

屋上に出るとグラウンドで学科ごとに対抗試合をやっているのがよく見える。

つーか、俺達こんなことしてていいんだろうか?

・・・多分いいよな。つか、球技大会とかたりぃ。

「さて、じゃあ昶君。始めようか。」

「始めようって言われても・・・俺丸腰・・・。」

神崎さんは既に鉄パイプを握り締めている。

とりあえず俺は辺りにあるものを探してみる。

「あ」

何故か隅っこの方にボロボロになった竹刀が置いてある。

まぁ丸腰よりましか。

「昶君。まさかそんなので僕に挑むの?」

「・・・だって何にもないし。いいよこれで。」

俺がそう言うと神埼さんは笑った。

(おもしろい奴だ。水廼昶。)

「いくよ!」

神崎さんの声と同時に俺達の球技大会の代わりのチャンバラ大会は始まった。

鉄パイプはいい音をたて、空気を切り裂く。

(中々早い動きをするな・・・神崎さん。でも・・・決定的な欠陥がある。)

振り下ろされた鉄パイプを軽く避けて俺はフェンスの上に立つ。

「何故攻撃しないんだ?」

「だって、こんな竹刀じゃ攻撃したってダメージないっしょ。」

俺はそういいボロボロな竹刀を見せて笑ってやる。

神崎さんは不思議そうに俺を見てるけど、何か考えてる。

目つきが先ほどより鋭い。

「本気で行かせてもらうよ、昶君!」

「どうぞ」


ヒュッ・・・!!


「うっわぁ・・・マジかよ・・・。」

俺は神崎さんの攻撃を避けたけど、あれは避けなかったらやばかっただろうな。

フェンスが俺のいた部分付近は全て押し潰されている。

潰された音に気がついたのか、グラウンドの方の生徒達がこちらを見ている。

「あーらら・・・。生徒が気がついちゃったみたいですね。」

「そんなことはどうでもいい。今は闘っているんだ。」

・・・この人頭ラリッてんのかな。もの凄く楽しそう。

「身体能力・・・なかなかいいものじゃないか。気に入った・・・君は僕が倒す!」

「えぇ?!」

倒されても困る!

俺まだまだこれから世界に出てやることいっぱいあるのに。

流石に高校生活の中で生徒同士の殴り合いで死にました。なんてことにはなりたくない!

「いやいやいや落ち着こうよ神崎さん。」

「君は僕の獲物だ。僕のものだ。」

あれ・・・これって裏発言?

俺まだそっち系の世界には行きたくないかな。

てかまぁ、ご自由にどうぞって感じなんだけど、俺を巻き込むなって感じ?

うん、いいよ。別に存在の否定まではしないから。

でも俺を巻き込むな!

「・・・ごめん。俺そっちの世界には行きたくないんだ。」

「何を言っている!君も僕と同じ世界(チームの話)にいるじゃないか!」

「Σ(・∀・|||)ゲッ!!そ・・・そうだったの?!(裏世界と勘違い)」

親父・・・チームってそんな場所だったの?

俺一言も聞いてないよ?

何かスゲー嫌になった。

俺が床とお友達状態でがっくりしていると、神崎さんは俺に向かって鉄パイプを振り下ろそうとしていた。


バシッ!


「!!」

神崎さんは驚いた顔をして固まっていた。

「・・・昶くん。君、今何したの?」

うんそりゃそうだ。

何の変哲もない、今にも壊れそうな竹刀で鉄パイプを吹き飛ばせるはずがないもんね。

「答えろ!」

「うわわわ!こ、答えるからそんなに近づかないで!無意味に顔近いから!」

とりあえず神埼さんを離してから俺は説明した。

「つまり"気"だよ。気。」

「気?」

「体内にある気を増減させることによって色々な力に変えることが出来るんだよ。よく中国のなんか体術的な話の時おじいちゃんが『気』がどうこう言ってるアレ。俺はその『気』をただ大きくして竹刀に力与えて弾き返しただけ。」

俺がそう説明すると、神崎さんは「うーん・・・」と呻りながら考えている。

(気の力を操るというのか・・・確かに人間には気があるというけど大抵の人間は放出しっぱなしって言うし・・・それを操れるのは通常の訓練よりかなり修行した者だけっていうしな。となると、水廼昶・・・彼はかなりの訓練を受けてきているというわけだな。)

「なるほど。理解した。水廼昶、君はなかなかできるようだね。」

「え?あ・・・どうも。」

神崎は昶と軽い握手を交わして戦闘終了を告げた。

そして昶は授業をサボるといい、図書館へ向かった。

昶の後姿を見送った後、屋上には神崎の姿だけが残った。

「・・・最後の鉄パイプを弾き返す時の彼の瞳は・・・まさに鬼のような瞳だったな。」


鋭い眼光で神崎を捕らえ

隙と無駄のない動きで素早く横へ回り込み

竹刀で鉄パイプを弾き飛ばす

そして最後に僕に向けられたその瞳は

まさに獲物を捕らえた獣のような瞳だった

あのままやりあっていたら

多分僕は殺されかねないな

「斉藤、なんで僕なんかにまかせるの?断然彼の方が僕より遥かに強いじゃないか。僕が傍にいる必要なんてないよ。」

そう言うと、斉藤が屋上に設置されているタンクの後ろから姿を現した。

「28代目ならお前がピンチな時守ってくれるだろう。それに、お互い組織が違えども助け合いの精神があるほうがいいだろう?」

「組織貿易かい?」

「そうだな。組織貿易だろうな。鎖国はいかん鎖国は。」

そう言って斉藤はケラケラ笑っている。

それを見て神埼はため息しか出ないようだ。

「わかった。そうだね、助け合い精神が大切って小学校の時先生がよく言ってたよね。

『1人は皆のために、皆は1人のために』って。ぶっちゃけくだらねぇスローガンだけど。」

「俺は先生なんて嫌いだ。」






おまけ。

「ねぇねぇ昶君、聞いてもいいかな?」

会議室で風紀の仕事をしている時、神崎は一緒に仕事をしている昶に突然問いかけた。

「何?」

「斉藤ってさ・・・」

「うん。」

「・・・・・・元不良?」

思い切って問いかけると、昶の動きがピタッと止まった。

そして何故か神崎のいない方向を向いてしまった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おーい・・・」

焦りと困った笑いと、完全に目をそらしている行動から完全に予測はつくのだが・・・

決して昶は口を開こうとはしない

「も・・・黙秘権発動」

「するなよ」



確信。斉藤は絶対青春時代は不良だった・・・と。

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