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ちょっとふぁいと。

学校をすっぽかして俺達が向かったのは街の外れにある廃墟ビル。

外見は廃墟になったっただのビルのようにしか見えないけれど、中はきちんと生活できるように綺麗ししてある。

つか、ここ・・・俺ん家なんだけどね!

「本当に今日でおしまいかぁ・・・。」

「はい。今日でおしまいです。」

「なーんか・・・実感ないな。」

「まぁ、教育も受けてきましたからねぇ・・・さ、こちらへ。」

斉藤は俺を地下格納庫へ導いた。

昇降機で地下格納庫へ向かうと、広い部屋に出る。

そこには親父の部下が整列して待っていた。

その真ん中の空いている道を俺は真っ直ぐに進み、一番奥に立っている親父のところへ向かった。

親父は黒いスーツをビシッと着込み、オールバックにしていた。

なんかいつもよりカッコイイ。

「なんだ、制服のままで来たのか?」

「だっていきなり斉藤が呼び出しに来たしぃ・・・てか、別に放課後でもよくね?」

「いいや、今だ。俺は今日から遠方へ仕事に出るために夜の便で行くからな。」

「・・・さいですか。」

「さ、じゃあ面倒くさい賞状の文みたいなとこはたるいから省略して・・・昶。お前を今日から【チタニウムバード28代目総長】に任命する。ここにいる部下は引継ぎ制で昶の部下だ。」

そう親父が言うと、チタニウムバードで代々引き継がれている証を渡された。

証っていっても別に特攻服とかそんなんじゃない。

見た目は安物だけど、特殊合金で作られたシルバーリングだ。

しかも、宝石もただのガラス玉のようだけど、ガラス玉なんかじゃない。

初代総長しか真実を知らないらしいけど、仮説によれば何かの核らしい。

しかし、この核は持ち主の身を守る能力を秘めていると言う。

まぁ、俺は見たことないんだけどね。

ちなみにどんなに叩いたって、傷も入らないし、壊れないんだ。

俺はそれを受け取ると自分の指にはめた。

少々俺には不似合いかもしれないな。

「これでお前も正式にチタニウムバードのメンバーだ。本日よりお前は力を解放していい。

すまないな、今まで辛い思いをさせて。」

「いやいや大丈夫。電気流されたり、飛んでくる刃物を避けたりするのに比べたら蚊が止まったようなものですよ。」

「ははは。違いない。」

本当に短い式を終えて、この家庭行事は終了した。

ちなみにこの行事がなんだったのかというと、これはあるいみ『マフィア的な組織』の式。

俺のチームは先祖代々から世界中を駆け巡り、裏世界での不正行為を阻止することを目的として活動しているチームだ。

ま、悪いことをする組織じゃないのは確かなんだけどね。

でも俺はまだ高校にも行かないといけないから、日本でしばらくは活動かな?

海外任務は親父達に任せよう。

「28代目。」

「ん?あぁ、斉藤か。」

「はい。あの、28代目はこれからは本当の自分をさらけ出して学校に通われるのですか?それとも、このままいじめられっ子の役を演じ続けるのですか?」

あぁ、それか。

別にどっちでもいいやぁ・・・。

やられたときだけ皆いないところでそいつと話つければいいし。

「皆のいないところで話つけるおつもりでしょうが、それはお止めになられたほうが。」

「何お前俺の心読んでんのーッ?!」

「すみません。丸見えでした。でも、皆ビビリますよきっと。」

「何で?」

「28代目は黒いですから。特にキレた時の黒笑みが。」

あー・・・そういやそんなことを前に親父の部下(今は俺の部下)にして、部下が泣いてたな。

つーか俺ってそんなに黒い?

「うーん・・・まぁ、でも正当防衛な対処とはっきりした発言は構わないだろ?」

「まぁ、それは構わないと。」

「じゃあそうするー。」

俺はその日、それだけ斉藤に言うと地下格納庫から姿を消した。



そして次の日はいつも通りに学校へ登校した。

教室に行くと、俺の机の上にどっかりと将和が座っていた。

「よぉ。おはよーあ・き・ら・君♪」

「うん。おはよ。とりあえず邪魔だからどけよ。」

「ハァ?昶君何その態度。いつもの駄目っ子昶君の態度じゃないねー?やっぱバックに昨日のお兄ちゃんがついてるから??」

将和はキレながら、ついでに顔を引きつらせて俺の方へやってきた。

つか、斉藤のこと言ってんだろうけど、斉藤は俺より弱いぞ。

「俺はバックなんて頼らないよ、将和君。」

「将和さんだろ?何君付けにしてんだ?」

「面倒だから。つか、タメなのにさんとか様はおかしいだろ。違和感ありすぎ。」

「言わせておけば・・・昶、覚悟は出来てんだろうな?」

俺はその言葉に頷きもせず、にっこり笑ってみせた。

内心、『こいつマジウゼー( ´Α`)』とか思ってたんだけど。

そしたらまぁ・・・不良って嫌だね。

いきなり腹に入れてきたよ。

それに続くように顔を連続、更に腹を椅子でガンガン殴る。

「これにこりたら、もう俺に逆らってんじゃ・・・――!!」

将和の言葉が止まって、傍観側のクラスメイトが将和の方へ食い入るように顔を向けた。

何故か将和は口が開いたまま目を見開いて固まっている。

後ろにいる舎弟である将和の友達も固まっている。

「逆らったら何?」

彼らが固まってしまったのは、俺が微笑みながら殺気をだしているからだ。

いつも彼らが見ていた俺の目つきは弱虫そうな目だったが、今の俺の目は明らかに彼らを睨んでいる。

「何かって聞いてんだ。答えろ。」

「くっ・・・コイツ!!」

殴りかかってきた将和の腕を俺は瞬間的に掴んで、将和を宙で一回転させて床に叩きつけてやった。

てかこいつ、本当に口先だけだ。

力なんて全くないし。

「舎弟の快斗君、蘭君。君達も将和君みたいになりたい?」

限界に等しいほどの満面笑みでそう言うと、二人は凄い勢いで首を横に振った。

まぁ俺としてもそれが超助かる。

面倒なことは一番大嫌いなんだ。

それからすぐ朝のHRが始まった。


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