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No.04:『エキスト』

テーマ:[孤独]


実は潜んでいるんだよ。

僕は、超能力が使えない。

なので、普通の生活を送っている。


できることなら、超能力を使いたい。

人の考えていることが分かる、そんな能力を使いたい。




今日も僕は学校へ向かう。

電車に間に合う時間ギリギリを狙って、自転車で駅へ向かっている。


今日は信号に引っ掛からなかったのに、老年の男性に引っかかった。

ダラダラ自転車を漕いでいるその人を、抜かそうにも抜かせない。


どいてほしいな……。

そう思っていると、横から女子高生がすごいスピードで僕らを抜かしていった。


そうか、抜かしていいんだ。

僕は思い切ってその人を抜かして、駅へ向かった。


電車に乗ると友人がいた。

でもいるだけだ。

朝は全く喋らない。

それなのに僕は一緒に登校している。

だんだんと、朝ぐらいは一人で学校へ行きたいな、と思うようになっていた。


友人とはクラスが違うので、下駄箱でお別れだ。

あとは校内で話すこともないだろう。

なぜ、一緒に通っているのだろう。


クラスに着いて扉を開く。

すると、クラスメイト達は、宿題やスマホから目を逸らし、僕の顔を見る。

そして、また目線を落とす、挨拶はない。


期待していた人物じゃなくて悪かったな、と僕は思う。


僕は席へ座って宿題の丸つけをする。

クラスメイトの声は、イヤホンでもして、あまり入ってこないようにする。


僕の前方の席の女子も、おそらく宿題をしていた。

のだが、すぐに隣の席の女子と、アニメの話をしていた。


僕は若干耳を傾けたが、知らないアニメだったのでやめた。

それよりも、僕は前方女子が話しかけている女友達の脚を見ていた。


その女子はタイツを履いていた。

程よい細さの足だった。

スカートとマッチしていて、とても良い。


僕は、できれば席替えしたくないな、と思った。

気づかれないように見なければならないな、と思った。


そろそろ、授業が始まるという頃に、ゾロゾロとクラスメイトが来た。

本来は僕もこのぐらいの時間帯に来たいのだが、友人の手前、下手なことは言えないだろう。


先ほどの前方女子に人が集まってきた。

どうやら前方女子は、美人に好かれるようだ。

いや、偶然かもしれないが。


僕は丸つけを終え、プリントを見つつ、彼女らの動きを見ていた。

華奢で体の小さい女は、足踏みをしたり、手を組んだり。

ぶりっ子なのかマジなのかわからない動きをしていた。


そして、教壇に乗っかっている、大声で鬱陶しい女もいた。

笑い声から何からうるさいので、あまり好きではない。

だから、ちょっと試しに殴ってみたいな、と思った。


一時間目は退屈な授業だった。

隣の男子は英単語を勉強している、よくない。

僕も思い切ってサボろうかと思ったが、かなり前の列の席なので、生徒からとても見られやすい。

サボりというのは、先生に見られないかというより、むしろクラスメイトに見られないかが重要なのだ。

結局僕は、コソコソ別のページの面白そうなコラムを見ることしかできなかった。


今日は体育があった。

体育の時間は、体育館で行われ、男女で別の授業をするが、ネットで仕切られているので、様子を窺えてしまうのだ。


まあ僕は体育の時間は弁えて、女子の方は見ていない。

逆に、女子の方がこちらをよく見ているようで、僕が側転が出来ないことを馬鹿にされたことがある。

そう言われると、僕は側転を練習しようにも出来ないじゃないか、と思った。


あれ、じゃあ僕も女子の体育見て良いのですか。


体育館からクラスへ戻るとき、他クラスの制服を着た生徒達が降りてきた。

そしてうっかり、女子生徒のスカートの中が見えてしまいそうになった。

見てはいない。


けれど、そもそも男子は階段を登るときに俯かなければいけないという決まりでもあるのだろうか。

暗黙の了解な気がするが、ちゃんと聞いたことはないから、いまだにどうしたら良いかわからない。


そもそも女子は、スカートを履くことをどう思っているのだろうか。

こんなリスキーなものを着ることをどう思っているんだろうか。

是非二つとも質問させてほしい。


そうして帰宅の時間。

一人でトボトボ歩いていると、色んな会話を耳にする。

あまり内容はわかっていないし興味もない。


ただ、前方の人間を抜かすのは気が引ける。

相変わらずこの世は考えることばかりだと、僕は思った。


と、前方から他校の女子がやってきた。

校則が緩いので、スカートは短く、上のシャツをスカートにしまっていた。


腰が際立っていて良いな、僕と思った。

しかし胸はそんなにないなと思った。


そうしてすれ違おうとしたが、交わす方向が噛み合わず、舌打ちをされてしまった。

だってしょうがないじゃないか、僕がまっすぐ行くより、道路側へかわしたほうがいいだろ。

舌打ちなんてするから、胸が育たないんだぞ。


……というか、今日見た女子はあんまり胸無かったな。


電車の中で僕は思う。

こういう性に対する知的好奇心がないと、きっと僕は生きていけない、と。

こんな僕、周りの人はどう思うだろうか。

でもきっと人間は性的なことをぐるぐる考えちゃう生き物だろうと、僕は思うことにした。




僕は超能力が使えない。

なのでこんな毎日を送っている。


超能力を使えるなら、人が考えていることが分かる能力が欲しい。


もし、そんな能力があるなら……。

どうか、僕だけに授けてください。

【あとがき】

美化できない、不親切な話。


面白かったら、絵文字を押していただけるとありがたいです。

感想やブックマーク、星もよろしくお願いします。

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