第40話 天才ですが何か?
魔力測定は球体状のマジックアイテム――見た目はオーラの測定器とほとんど変わらない――に手を付け、魔法を発動直前の状態にすると測定できる仕様となっていた。魔法は何でもオッケーとの事なので、測定機に手を付けた俺は得意のヒールの紋様を脳内に思い浮かべ、魔力を注ぎ込む。
「ほう……貴方は魔力の方も相当の様ですね」
魔力の測定で出た値は1412。数値だけならオーラより高いが、基本別物なので高いからと言って此方の方が上かどうかといった感じにはならないだろう。取り敢えず言える事は、この組では今の所俺が一番って事だけだ。
振り返るとザケン王子が信じられない物を見る様に、目を見開いて固まっていた。魔法が得意と豪語していた彼の数値は702だったので、俺はそれにダブルスコアを決めた事になる。まあこれで賭けの方は決定的だろう。
因みに、エナイスは820と今の所俺に継ぐ二位となっている。そして驚くべき事だが、ネイガンも魔力は400を超えていた。脳筋に見せかけておいて、実は最低限魔法は扱える様である。ま、どうでもいいけど。
「魔法の全体順位だと、今のところ2番ですね」
職員がご丁寧に教えてくれる。こちらも俺より高い人間が多ければ多い程良かった訳だが、まあ一人いるだけでもよしとしよう。
……ぶっちゃけ俺の中では、魔法は近接戦闘より重要度が低めだからな。
俺がそう考えるのは、魔法は魔法ごとに威力の上限がある為だ。なので、現在人類が扱える最高峰と呼ばれる世界級魔法を習得出来たとしても、正直、魔王相手にはそれ程有効打にはならないと考えていた。
その根拠の元はまあ、エイナスの話だ。魔王が暴れた際、魔塔の副塔主ゴンザスの放った精霊級魔法――ほぼ最大威力――がノーダメージだったらしいからな。なので世界級魔法が二つ上とは言え、倍のステータスになった魔王相手では期待薄と言わざる得ないのだ。
まあ更に上の破滅級魔法や、創造魔法――威力はそれ以下の魔法と一線を画すらしい――が覚えられるなら話は変わって来るのかもしれないが、それらは伝承に残ってるだけなので、習得するのはまず無理と考えていいだろう。
「し、信じられん……貴様は一体何者だ?本当に只の冒険者なのか?」
測定を終えて一団の元に戻ると、ザケンが驚愕の表情で聞いて来る。その反応に、いまさら何をと思わざるを得ない。俺のビッグマウス。そしてエナイスが断らなかった時点で、普通ある程度は察せられるだろうに。お馬鹿極まれりである。
「自分で言うのもなんですが……」
この力を追い求める学園の試験の場で、自分を下げたり隠す意味はない。なにせ入学したら、切磋琢磨して魔王との戦いに備える訳だからな。だから俺は堂々と告げる。
「俺、超がつく天才ですんで」
自分が天才である、と。
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