第39話 魔法の才
「ふん。オーラ量で勝っているからと調子に乗るでないぞ。測定は魔法もあるのだからな」
計測を終えて戻ったら、不機嫌そうな顔のザケンに嫌味を言われる。測定は4種類あるので、確かにこれで一番になったからと言って総合トップになれるとは限らない。全く別分野の、魔法の測定もある訳だからな。
「我が国は魔法において抜きんでている。最後に笑うのは私だ」
ザケンの中では、きっと俺がネイガンと同じ脳筋タイプとなっているのだろう。だが残念ながら、俺はそっちにも自信があった。
師匠が言うには、俺の魔力の上昇速度は異常だそうだ。まあ、戦闘訓練の様に地獄の訓練ではなく片手間で増やしてただけなのに、たったの一年半で超絶級魔法を使いまくれるだけの魔力量に至ってる訳だからな。そこは俺も自覚していた。要は、俺は魔法の天才って訳である。
更に今の魔力は、魔王と戦った時の倍近い量にまで膨れ上がっている。習得さえできれば、今の俺ならもう1ランク上の精霊級魔法をある程度連発する事だって可能だろう――習得出来ればの話ではあるが。
しかも激しく戦いながら超絶級魔法を高速で使用できる、天才ならではの芸当もあるのだ。仮にこの会場に魔法能力が俺より高い奴がいたとしても、圧倒的差を付けられる様な事はまずないはず。
え? 才能があって優秀なら、これからは魔法主体で頑張った方が良いんじゃないか?
単純に才能だけ見るなら、確かにその通りではある。だが、戦闘における魔法には色々と欠点があった。なので個人的には物理戦闘メインの、魔法が補助ってスタイルを俺は変えるつもりはない。
まあアカデミーで、現在実質最高ランクと言われている世界級魔法を超える、 伝説レベル――破滅級魔法と創造魔法――の魔法を覚えられるなら話は変わってくるが。ま、流石にそれはないだろうし。
「次は魔力の測定を行います!」
最初のオーラの測定が全員終わり、次の魔力測定に移る。このグループのオーラ測定量一位は俺で、二番手がネイガン。予定調和と言える結果だ。
因みに、王女であるエナイスも400と平均以を叩き出していたりする。しかも彼女は魔法タイプとの事なので、案外優秀な……いや、判断するのは早計か。自己申告を鵜呑みにするのは馬鹿のする事だ。魔法タイプって言ってるけど、実はゴミみたいな魔力の可能性もあるしな。
「ふふふ、まあ精々私達の魔力におののくがいい」
ザケンが勝ち誇ったように胸を張る。
こいつが俺以上の魔力を持っているとは到底思えないが……
オーラと違って、内包している魔力の量は分かり辛い。天才の俺でも簡単には見ぬけない分野だ。とは言え、一芸に秀でる者はその立ち居振る舞いに自然と雰囲気がにじみ出てくる物だ。ザケン達が意図的に、しかも俺に見抜けないレベルの道化師を演じていない限り、その魔力が俺を遥かに超えている様な事はないと思われる。
「お手柔らかに」
俺はザケンの自信満々な言葉に、適当に返事しておいた。ぶっちゃけ、こいつには興味がないから。
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