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第19話 vs勇者②

「はっ!げぇあ……ぐぅ……」


 殴られたショックで、少し意識を失ってしまっていた様だ。動こうとすると吐き気が込み上げ、激痛が腹部に走る。おそらく腹部への一撃で、内臓が損傷してしまったのだろうと思われる。


「くそ……」


 俺は脳内で魔法陣を展開し、そして発動させる。ヒールを。


「ひー……る……」


 超絶級魔法(セブンスマジック)ヒール。それは俺が師匠から真似て覚えた高位魔法。その展開には四十八個の魔法陣が必要となり、通常の人間なら発動までに数十秒はかかる代物である。だが天才の俺は脳内で一気に四十八個の魔法陣を構築し、魔力を注ぎ込む事が出来た。なので発動は一瞬だ。


「化け物やろうが……」


 魔法の回復によって瞬く間に痛みが消え、俺は瓦礫を押しのけ立ち上がる。


 そのまま死んだふりをしていれば見逃して貰えた?


 そんな訳がない。その証拠に、奴は瓦礫から出て来た俺の方を見ながら不気味な笑いを浮かべている。それは立ち上がって来るのを確信していた顔だ。


 少し遠くに、ヒールで怪我を回復しようとしているボロボロの師匠の姿が見えた。止めをさっさと刺さない当たり、俺達を甚振って遊ぶ気満々だという事が分かる。


「調子に……乗んなよ……」


 奴は強い。それも圧倒的に。このまま戦えば、師匠と二人がかりでも勝負にならないだろう。だからと言って、逃げるという選択肢もない。逃がしてくれるとは全く思えないからだ。


 ――ならば戦うしかない。


「使うしかねぇな……奥の手を……」


 師匠すらも知らない、俺の切り札。それは命を燃やし、肉体とオーラをを極限まで強化するという物だ。分かりやすく言うなら、火事場の馬鹿力。その超強化版である。


 但し――これを使うと大きなデメリットが二つ発生する。


 一つは、限界を超えた力の行使に肉体が耐えられない点だ。動けば筋繊維が千切れ、骨が砕ける。なので、通常なら動けても数十秒が良い所だろう。


 まあだがこっちに関して言えば、天才である俺ならどうにでもなる物だ。凡人と違って、戦いながら逐次ヒールする事が可能だから。ダメージを受けるのなら、回復させればいいだけって訳だ。まあそれでも魔力は無限じゃないので、時間制限はどうしてもできてしまうが。


 二つ目。問題はこっちだ。天才の俺でもどうにもならない。それは寿命の減少である。命を燃やして戦う以上、当然その総量が減る。問題は減り方だ。流石に天才の俺も、自分の命の残量を正確に把握する事は出来ない。だから最悪、戦っている最中に寿命が尽きるなんて事もあり得た。


 ……けど、どちらにせよこのままじゃ殺されるんだ。


 ならば惜しむ意味はない。


「そのニヤケた面をぶっ飛ばしてやる!」


 俺は命を爆発させる。そして真っすぐに奴に突っ込んだ。


「おも……しろい……」


 奴が俺に向かって右手を伸ばす。俺はそれを左手で弾き、そして右拳を奴のがら空きの顔面に叩き込んだ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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