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ハンドガン・ゲーム  作者: ととま
弾道の行方
2/2

もうひとつの夜

 だが、その銃にはまだ弾薬が入っていなかった。

 そして、声が聞こえる。


 死ぬには惜しく、生きても無価値。


 幻聴が大きくなってきた。

(弾はどこにあるんだ)

 黒い箱をまさぐり、底の板を外した。すると、10発ほどの弾薬が出てきた。

(つまり、これを詰めれば撃てるってことか)

 弾を詰めて、彼は夜明けと共に眠りについた。



 もう一つの夜。

 月が照らされ、人影が見える。

 黒髪に紅い一筋のメッシュ。

 少女がひとりいた。


「くらくらくら」


 特徴的な笑みとともに少女は物思いに耽る。

(銃が欲しい。……人を殺すための銃が)

 髪を梳き、紅い毛を掴んだ。

 そして、顔を傾けた。


「血が欲しい。銃が欲しい。命が欲しい」


 くらくらと笑いながら、少女は呟いた。

 女子高校の彼女の名は倉本愛無(くらもとあいな)。勝気な性格である。

 自身に人を殺す能力がないことを悔やんでいる。


 絶望と血と渇き――。

 抑えられない衝動を胸に日々を生きている。

 学校では孤立している。


 とある屋上で前かがみの姿勢をとっていた。

(もう少しで落ちるな。それもまた一興)

 くらくらという少女の声が闇に響いていた。

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