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ハンドガン・ゲーム  作者: ととま
弾道の行方
1/2

 銃声が辺りに轟いた。


「あ、ああ……。本当に殺してしまった」


 男は呟くと、おもむろに銃を置いた。

(話には聞いていたが、こんなものが存在するなんて……!)

 とりとめのない感情が男を襲い戸惑わせた。

 震えが足先から始まり、髪の毛まで伝わる。


「こんなはずではなかったのに……」



 男の記憶は一ヶ月前に遡る。


 青田ムラサメという少年は、引きこもりである。

 鬱っぽい心、内向的な性格、けっして整っていない顔。

 すべてが神に見放された人間とでもいうべきか、いいところがない。


「さて、そろそろ時間だ。コンビニでも行こうかな」


 ベットから起き上がると、スマホを手に取り時刻を見た。

 夜の11時だった。

(昼夜逆転になって何日だろう……ま、直す気はないけどね)

 ニヤリと笑って、外に出た。


 必要なものを買ってコンビニから出ると、入り口に妙な物が置いてあるのに気付いた。

(なんだこれ?)

 それは黒っぽい長い箱に入っており、片手で持てる大きさだった。

 いくら陰気臭い少年とはいえ、捨ててある物を家に持ち帰るようなことはしないはずだが、なぜだかその時は胸騒ぎがした――のちに青田はそう回想することになる。

(デスノートか? いや、ノートのサイズじゃあないな)

 考えながら夜道を歩いた。


 電気を点けさっそく箱を開けてみた。すると――


「こ、これは銃か? なんで……そうかエアガンか」


 誰かのいたずらか、青田はそう思った。

 日本に弾の出る本物の銃があるはずがない。

 あっても、ヤクザが持っているくらいで普通の人間が持っているはずがない、――そう決め込んでいた。

 しかし。


 心して撃て、さもなくば自らを痛めつけるだろう。


 そんな声が聞こえた気がした。

 誰だ? とは思わなかった。

 青田ムラサメは統合失調症を患っている。

 だから、また陽性症状からくる幻聴だとすぐに思い込んだ。

(それより死にたいな。……今日も鬱がひどい)

 いっそこの銃で死んでしまおうか、ふと思った。


 喉に突っ込んで引き金を引いた。

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