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34話 散り散りになった部隊

「取り敢えずこの場に居るのはこれで全てのようですね」

「僕が苦労したのが嘘みたいだよ」


 オルカの爆発魔法は妖精蝶に効果的で、瞬く間に撃ち落としていった。オリベルが木々の間を飛び交って斬り、オルカが爆発魔法で妖精蝶たちを消し飛ばしていく。

 二人の攻撃によりたとえ進化個体であっても呆気なく排除された。

 一角狼の際の二人の力量ではここまで簡単に倒すのは難しかったことだろう。騎士団に入ることにより、新たな才能と交わることで得た経験値が二人を成長させていた。


「では先程、あなたが離れてから何が起こったのかをお伝えします。まず……」


 オルカの口からオリベルへと話された内容はこうである。

 まず最初にオリベルが妖精蝶の幻覚により、惑わされ部隊から離れていってしまった。それを追いかけようとしたクローネとディオスも術中に嵌まり、姿を消す。

 最終的に残ったオルカとリュウゼンは二手に分かれて幻覚で惑わされている三人を探しに来たという事だ。


「通常種の幻覚作用であればあなたもかからずに済んだのでしょうが相手が悪かったですね。私とリュウゼン隊長は普段から魔力障壁を厚く張っていますので無事だったのですが」

「なるほど、魔力障壁か。意識していなかったな」


 強固な魔力障壁をある一定の間、張り続けながら戦うというのは難しいことだ。油断すればすぐに霧散してしまい魔力を無駄に消費してしまうことになる。

 それを可能にしているオルカとリュウゼンの魔力操作がずば抜けているのだ。


「幻覚の作用はそれほど長続きはしませんのでかかっている間に殺されるとかはないでしょうけど、一応魔力障壁を強固にしておくのをお勧めします」

「分かった……とはいえ苦手なんだよな」

「魔力操作くらい意識せずに出来るべきです。まさかそれくらいの事を出来ないとか言いませんよね?」

「できます」

「よろしい」


 相変わらずのオルカ節により強制的に魔力障壁を張ることになったオリベル。魔力障壁は身体強化魔法の派生形である。身体強化魔法を得意とするオリベルならば出来ないことはないのだ。

 白い均質なオーラの中に身体強化の攻撃性と魔力障壁の防御性を持たせる。このバランスを平然とした顔で保てているのがオルカである。


「……魔力障壁をそれだけ強固に張ってもあなたの魔力は静かなままなのですね」

「もともとこういう性質なのかもしれないな」


 魔力が揺れもしないというのはオルカにとってはやはりオリベル唯一のものであった。それがただの感情の話で片付けられる物ではないのではないかと思っていたのである。

 対するオリベルはオリベルであまり魔力についての知識がないため、自身の魔力が如何に異質であるかを認識していなかった。


「そのくらいあれば幻覚にも惑わされないと思います」

「オッケー。それじゃ皆を探さないとだな」


 妖精蝶の幻覚によって散り散りになった仲間を助けるべく、オリベルとオルカは二人で森の中を行動する。そしてしばらく森の中心へ向かって歩いていくと、前方から今までの比ではないくらいの光が漏れ出しているのが見える。


「何でしょうかあれ」

「行ってみるか」


 ひときわ目立つ七色の光。これくらい目立つ場所ならばもしかして誰かが集まっているかもしれないと思った二人はその光へ向かう。

 そしてその光を見上げている人影を見てオルカが声を掛ける。


「イルザ隊長」

「あら? リュウゼンのところの子ね。他の人はどうしたの?」

「妖精蝶の幻覚で惑わされまして。現在散り散りになっております」

「あなたのところもなのね。実は私も他の団員たちと離れちゃって。今はこの子と二人よ」


 イルザの傍に立っていた女性が少しだけ首を下げる。合同訓練でかなりの実力を発揮していた第三部隊副隊長のセレナ・イスカールである。


「それでこれ何なんだろう?」


 オリベルが七色の光の原因である巨木を見上げながらそう呟く。周囲の木々の何十倍もあるだろう太さに見上げても先が見えないほどに高い巨木。


「私にもわからないわね。そもそも妖精蝶の生態自体が不明だし、分からないことだらけね」


 いつの間にか光り輝く森が出現し、妖精蝶たちが繁殖している。その謎は未だ誰も解き明かせたことはない。更に七色の光を放つ巨木があるなどという記録は誰も見たことが無かった。


 そうしてオリベル達四人で七色の光を放つ木々の周囲を調査していく。今回の任務は妖精蝶の掃討及び調査である。

 進化個体が発生する要因は何なのか、その情報が手に入ればそのような変化をもたらす現象を未然に防ぐことだってできるかもしれない。

 そんな時、七色に光っていた巨木の光が輝きを増し始める。ただでさえ眩しい光がより一層強くなっていくことに四人は警戒する。


「何が起こるというのかしら?」


 更に光り輝いた次の瞬間、巨木の中から人の姿をした何かが次から次へと姿を現してくる。


「嘘……なにこれ」


 現れたのは大量の妖精蝶の進化個体。数十にも及ぶ妖精蝶の進化個体がオリベル達を囲い込むのであった。

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