6 断罪の星2
順調に投稿できてるよし!
竜素の量が急激に増えた。
まさか、ここまで育っていたとは。
いや、最初からこの強さで契約をしたのかもしれない。
そして、力が大きすぎたが故に人格形成に難が出てしまったというところだろうか。
今、リアナラドラは完全に竜の風格をしている。
こちらの人格が表で活動を始めてしまえば龍になるのも時間の問題だろう。
「空間魔法か、少し厄介だ」
リアナが呟く。
そう、ここは先代の最高傑作である空間魔法で作られた宇宙空間の星。
我々邪狩者が邪人を確実に死に追いやるために創造された魔術。
多重に空間魔法が施されており、一度この空間に入ると抜け出すのは困難。
さらに対象者から魔法の素とも言える竜素を奪って術者の物とすることができる。
だから、弱体化しているはずなのですが……
この星まで転移した時から流れ込んでくる竜素の量が多すぎますね。
この魔術唯一の弱点として、対象者と術者が一緒に入らないといけないことがある。
それは対象を倒すか、対象から逃げ切ることで抜け出すことができる。
でもこの調子だと倒すことも逃げ切ることもできないかもしれない。
「ーーーーだが」
そう呟きながら口の片端を上げて笑う。
そしてリアナが先に動き、膠着状態が終わる。
リアナの周りに水が生成される。
水はやがて無数の槍の様な形に形成され、一斉にニバリーへと飛んでゆく。
ニバリーは水の槍を踊るように避け続ける。
踊りに引き寄せられるように飛んでいった水の槍はニバリーへと戻ってくる。
このままだとまずいですね。今の所全ての槍を避け切れていますが、数が多すぎて避け切るので精一杯。
当たってしまうのも時間の問題でしょう。
ピリッ
なんでしょうーーーピリッ?
ーーー槍を避けるのに必死すぎましたね。いや、光魔法で見えないように調整していたのでしょうか。
水に囲われています。いいえ、これは囲われてるだけじゃありませんね、辺り一面水で覆われているのが正解でしょうか。
水のせいで外の景色がよく見えませんね。
ーーー彼女の姿も見えませんね。非常にまずい状況になりました。
複数の魔法を同時に使えるということは常に私を攻撃しながら空間魔法を突破する魔法を構築していてもおかしくない。
ピリッ
ーーーそして、ニバリーは白い光に包まれる。
光が収まると周りの水の総量が減り、リアナの姿が見えるようになった。
リアナの後ろには、
後ろには……
「精霊?」
リアナの後ろには鳥の形をした炎がそこにいた。
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「あいつが……ニバリーが生きていたのか」
ドゥインの翠瞳が揺れる。
契約者であるりっちゃんに目を付けたっていうのか。
まだ邪狩者なんてやっていたのか。
ニバリーには昔、迷宮の世界で冒険者を殺し尽くしていた魔人に襲われていたところをニバリーに助けられたことがある。
それでも意味がない。邪を狩るなど無駄な足掻きだ。
黒髪で黒瞳の彼は何も知らない。
「龍神達の目的を」
そして、
『断罪の星』は邪竜の武器として作られたということも。
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火の鳥は異様な存在感を放っていた。
「ーーー精霊?」
「よく分かったな。これは精霊だ。おかしいか?ーーーーそうか、邪狩者のお前からしたら邪者である我が邪者につく訳のない精霊を連れていることが不思議でたまらないだろう」
「ーーーー」
「やはりわからぬか。視野狭窄にも程があるぞ邪狩者」
「ーーーー」
「無い頭振り絞って考えるが良い。尤も、考える時間ももう無いがな」
次の瞬間、ニバリーは轟音と共に赤い光に包まれる。
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「さあて、今日のお仕事も終わったことだし帰るとしますか」
額の大きな角を撫でながら灰髪の女がデスクから立ち上がる。
「ーーーーっっ!!」
後ろの窓。
いや、もっと先。
お城と壁の丁度中間地点からものすごく大きな力を感じる。
次の瞬間
赤い光、真っ赤な炎が勢いよく街から立ち上る。
遅れて轟音が届く。
そのすぐ後に立ち上った炎が円柱状に広がり、群発的に街が爆発していく。
「ななななななっ!なんだこりゃああああああああ!!!!!」
ままま街が!
ばばば爆発?!
ちちちちょっとまって!
爆発は広がっていく。
ええええ嘘でしょう!
どどどどどどうしよう。
円柱状に張り巡らされた壁の中、およそ4分の1が爆発しきって瓦礫が散らばっていた。
ばばばばくばくばくははつおわった?
いいいったん落ち着こう。
街の……あそこは商店街。
もう全てのお店が閉め切っている。
でも、お店兼住宅の建物がほとんどだから……
えーっと、死者多数は確実。
被害状況をしっかりと確認しないと。
その前に、爆発の原因はなんだろう。
大きな力……爆発源は火の魔法かな。
私よりも強い。
あの威力の魔法を使えるのはこの世界に指で数えられるほどいるのだろうか。
とりあえず、土の魔法で爆発した範囲を囲っちゃおうかな。
よし、そうしよう。現場保存します。
「ーーーーってあれ?」
魔法が使えない。制御ができない。
あの辺り一体全てで竜素の動きが乱れている。
「あれは……また爆発が起こってしまう」
赤い光が爆発の中心地点だった所から上空に打ち上がる。
光の点から赤い光の線が街の無事な場所へと向かっている。
あれ、これって二次被害……
爆発の被害に遭っていないところでは魔法が使えそうだ。
道に沿って壁を作ってあの光をとめる。
これで行こう。
「さあ!守りましょう」
地面から巨大な土の壁が出現する。
光の線はその壁を貫く。
次々と線が向かう先の道を使って土壁を出現させるも全て貫かれる。
そして
街に着弾。炎の円柱が発生。
爆発はせず、円柱はその場にとどまっている。
「今度はなんでしょうか、とととりあえず人を呼びましょう。それから………それから…です」




