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火の魔女リアナ  作者: かつおのかたたたき
3/7

3 あたまが爆発しそうです!




え、()()()の子?

なにそれ。


リアの声と男の声が被ってしまって多少聞き取りにくかったが、確かに()()()の子って言ってた気がする。

というか髪と瞳の色が緑色だ。こんな派手な色を持っている人はリア以外にいたことなんてなかった。人族ではないのならいろいろ話を聞いてみたい。


「―――ああ、この世界にはいない種族だったっけ」


しゃがんでこちらを覗いていた緑髪の男が視線を外しながらつぶやく。


「俺はエルフ族のドゥインだ。エルフ族っていうのはこことは別の世界に住んでいる種族の一種なんだ」


「―――別世界?」


「そう別世界。この世界は龍神テルルが支配しているだろ?同じように俺の世界ではゼファーっていう龍神が支配してるってわけ」


「―――りゅうじん?」


えええ!?全然何言ってるかわからない!

エルフ族?別の世界って何?りゅうじんって竜のことかな。そういう種族がいるのは知っているけど、この世界を支配しているとか聞いたことない。―――ドゥインだっけ?この男の人は何を言ってるんだ?


「あっれ、ぴんと来てない感じだなあ。―――もしかして、この世界支配者は放任主義か何かなのか?」


知らない単語がたくさん登場したので、ちょっと考えてみようと思ました。

でも、やっぱり何言っているのかわからないので、わからないこと全部聞こうと思います!


「―――――こことは違う世界があるんですか?」


「あるぞぉ、わからないなら教えてやろうじゃあないか。それじゃあ歩きながらでいいか?……って、それじゃあ歩けなそうだな。背中に乗ってくれや」


そうだ。もう少しで日も暮れるし、ここも安全じゃない。この人に連れて行ってもらおう。

―――いや、違う。その前に聞かなければならないことがある。


「私の髪は……怖くないですか?」


そう、人族にとってこの髪色は禁忌の象徴みたいなものだ。とんがった耳の……エルフ族の中でもそういった言い伝えとかがあるかもしれない。


「怖くないな。仲間を見つけた気分だ」


「――――」


確かに、この世界では派手な髪の色をした人は珍しい。世界中探しても二人いるかいないかくらいには珍しい。この世界の標準の髪色は黒か灰色だから。

まあ、このドゥインさんも緑色だし。怖くないっていうのだったら連れて行ってもらった方がいいかな。話も聞きたいし。

そう思いながらリアナは恐る恐るエルフの男ドゥインの背中に乗る。


「おっしゃ、行くぞ!!」


「―――はい」


不信感は消えないが夜の移動には必要なことなのだと自分に言い聞かせて、リアナとドゥインの旅が始まる。

―――と、言っても都市タリアまでだけど。



――――――――――――――――――――――――――――――――――



「そういやあ、嬢ちゃんの名前聞いてなかったな。なんていうんだ?」


「リアナです」


「おっけおっけ、リアナね。これからりっちゃんって呼ぶからな、俺のことは何とでも呼んでくれや」


「りっちゃん………」


距離の詰め方が急すぎる気もするが、そんなことよりも彼には聞きたいことがたくさんある。


「あの、()()()の子って何ですか?」


「龍の子か?うーん、そうだな。簡単に言えば龍と契約した人のことだな。」


「契約?」


「そう契約。体毛の色と瞳の色が同じ生物ができるもので、龍と契約すると魔法の力や精度が大幅に向上する。そして契約した後は金瞳に変化して、そういった人を龍の子って呼ぶんだ」


じゃあ、赤髪金瞳のリアは龍と契約をしたことがあるってことか。

うーん。そんな記憶はないんだけどなあ。

強い魔法は使えそうにないけど精度は確かにいいかもしれない。

人には見せたことがないけど火の鳥を魔法で作り出すことができる。すごいでしょ、えっへん!


「そんでもって俺の世界は俺みたいな派手色の奴らがわんさかいるからそういう奴がいないこの世界では寂しくてなあ。りっちゃんに出会えたことはめっちゃ嬉しいんだあ」


「わんさか……。それであなた…ドゥインさんの世界っていうのは?」


「俺の世界かあ…まず世界についてだが、これは無数にあるらしい。俺が行ったことがある世界は3つだな、元の世界とりっちゃんの世界ともう一つ。そのもう一つの世界は荒れ果てすぎていて大変だったなあ」


そんな世界もあるんだ。

まあ、無数にあるんだからそういった世界があっても不思議じゃないか。だんだん理解してきた。

あ、あとこれも聞きたいな。


「龍っていうのは何なんですか」


「龍ってのは生物の最終進化で至る存在ってところかな。龍は不老不死で強力。もし出会っても突っかかるな、これ鉄則な!」


「最終進化?」


「どうやったら進化するのかは俺もよく知らねえんだよな、ゼファーさんはけちって進化方法を教えてくれねえ」


ゼファー……さっき言ってた龍神さんか。

あれ、神って何だろう。考えるのはめんどくさい、知らないことがあったらすぐ聞くのがリアなのだ。


「神って何ですか」


「ちょーつええってことだな。よく知らねえ」


うんうん、ちょーつええってことね。

なるほどわからない。

つまりドゥインは何でもかんでもわかるわけではないってことかな。



―――――その後は他愛もない話が続いた。



「おっと、話していたらこんなに近くまで来たなあ」


「ほわぁ………」


リアナはその建造物の巨大さに圧倒されて呆けた顔をしていた。

一つの山を削ったかのように巨大だがそれは違う。黒色の巨大な円柱とその円柱を遮るようにして斜めに聳え立つ白色の塔。厳密にいえばこの星の衛星の光に照らされて白色に見えるだけだが、その異なる二色によってこの巨大な物体が建造されたものであることを証明している。


壁面をよく見ると凹凸の一つもない綺麗な面だけで構成されている。リアナが知っているのは岩で積み上げられた壁や木を組み上げた壁くらいのものだが、どちらも岩と岩、木と木の間にはそれらを積み上げたということが想像できるような凹みが存在していた。

であるから、この建造物はとても不思議だ。まるで二つのとてつもなく巨大な岩をここまで運んできたような……それとも継ぎ目を隠してたりするのかな――――


「都市タリアは3千万年前にこの世界の初代支配者が魔法で作り出したらしいな。それもお遊びで」


「!!」


そんな馬鹿みたいなことが……30000000年前?!魔法?土魔法かな。継ぎ目を隠している感じもなさそうだから一発でこの建造物を作り出したってこと?!

――――すごいなあ。龍神様の力は規格外ってことなんだ。


「というかなんでドゥインさんはそんなこと知ってるんですか?」


「ゼファーさんがこの国の初代支配者と仲が良かったみたいで、前に武勇伝を聞いたことがあってな。」


「へ?」


龍は不老不死だと聞いていたけど、3千万年も生きているということを聞くと、改めてとんでもない存在なんだと思い知らされますね。

ああ、リアの頭はパンクしそうです。このドゥインさんはリアの頭の中を爆発させるためにどっかから送られてきた刺客なのではないかと、そう思い始めてくるほどです。

――――早く休みたいなあ。






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