2.伯爵との対峙
ベッドに放り出された私は、脇に立つ伯爵様の姿を恐る恐る見上げていた。
これが私の夫になる人?
さほど背は高くないがでっぷりと太っている。おでこはテカテカ光り、口元の髭は小狡い風貌を際立たせている。どう見ても好感のもてるタイプではない。
「ふん、貧相な体だな」
ジロジロと私を眺めると、ベッドに上がりいきなりのしかかられた。
ブチブチとボタンが外される。
(え、ま、待って)
恐怖と嫌悪感でとても眼を開けていられない。
バリバリ、ガサガサ
(いやあぁぁ〜〜)
伯爵の鼻息が荒い、これでは農場の豚のようだ。犬に例えたのを犬に謝りたい。
体を固くしてじっと耐えていると急に重さが消えた。
あれ?話にきくのと違う気がするけど、これで許されるのかな?
「なんだ、処女を相手にすれば治るときいたのにダメではないか。安物を手に入れたのがまずかったのか」
安物とはあなたが決めた支度金の額の事でしょうか。
伯爵が出ていくとメリーがお湯とタオルを運んできてくれた。触られた上半身をゴシゴシこする。これ以上は無理だ、逃げたい、家に帰りたい。
そういえば伯爵のオーラは白かったが見間違いだろうか。
この国では誰もが魔力を持って生まれる。
建国の伝記には、魔力の強い人間が集まり協力して森の魔獣を倒し、平和な国を造ったとある。その子孫が王族や貴族で、魔力の強さは受け継がれている。
強さにより習得できる魔法の数がかわり、庶民はひとつかふたつ。私みたいな下級貴族は3から5つ。上級貴族は更に増える。
私は人の魔力をオーラとして見ることができるが、伯爵の白は魔力の少ない庶民の色だ。下級貴族ならあり得るが伯爵位を継ぐ者がなぜ?
馬車の移動に加えて今夜は色々な事がありすぎた。ベッドに横たわるとたちまち深い眠りに落ちたのだった。




