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13.手強い妻(アンドリューside)

領地の仕事は5日で終わらなかった。ジェームズが爵位を持っている間ウィルに指示して止めていた事業がいっぺんに動き出したからだ。これから領民がもっと豊かになるよう頑張りどころだ。

途中の街でエレンへの贈り物を探す。彼女は宝飾品をほとんど持ってないだろう、喜んでくれるといいが。


タウンハウスに着いて馬車を降りるとメイドや従僕の迎えがあったが、妻も執事もいない、何故だ。  

2階に上がり執務室のドアを乱暴に開ける。


「「おかえりなさいませ、アンディ様」」

一瞬顔をあげて、またすぐ手紙を書き始める妻と、顔をあげようともしない執事。

「ただいま、俺が留守にしたせいで迷惑をかけたようだな」

エレンの前に積まれた手紙に目を通す。

「なんだ、これは?!」

「アンディ様が爵位を継いだことが新聞に載ったようですね、釣り書きが次々届いてます。ご令嬢のお年も15歳から25歳と幅広いですよ」

「なぜ…」

「さあ、結婚は載らなかったからですかね。家格に問題のない家には定型文で断りの返事を書きましたから、こちらの山はアンディ様が目を通してください」

「全部断るに決まってるだろう。なぜエレンが釣り書きを押し付けて来るんだ、君は俺の妻だ」

「だからレイが倒れないよう、仕事を手伝っているのです。少し休憩するので続きはお願いします」


「待てエレン、結婚式を挙げよう」

「それは、必要ですか?」

「エレン、私達は結婚している。結婚式は当然のことだ」

「え?アンドリュー様の好きな相手が見つかるまでの、雇われ妻ですよね?」

「エレン、伝わってなかったようだが。俺は君が欲しくて妻にした。雇ったわけではない」

「でも、プロポーズされてないですから」 

「それは…」 

「本当に妻に欲しい人にはプロポーズしますよね」

「予定はしていたのだが…」

「抱きしめられたり…キス…もないですし」

「君の気持ちが落ち着いてからと…」


参った、俺のせいとは言え予想以上に手強い。

助けを求めてレイモンドの顔を見る。 

「自業自得ですね、アンディ」

レイは冷たい。

「時間をかけて誠意を見せたらいかがですか、エレン様どうぞ休憩をとってください」

「レイ、ありがとう」

いつの間にかレイ呼びになっている。俺よりも信頼されてるレイモンドが恨めしい。


やや、気まずい晩餐の後部屋に戻ろうとするエレンに手を差し出した。エレンは躊躇いながら手を取ってくれた。部屋の前で別れるとき、額にキスをした。 

「おやすみエレン、また明日」

「…おやすみなさい」 

顔を赤らめたエレンが愛しい。

少しずつエレンに意識してもらえるよう行動するしかない。 


そう決意したのに、数日後には領地でトラブルが起き呼び戻される羽目になった。

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