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結婚の一歩手前

作者: あーくん

お見合い列車が向かう先には何が待っているのか。

幸せか?落胆か?それとも笑いか?


 もう私も35歳。

そろそろ結婚しないとやばい、という焦りがある。

もうここまで追い込まれたら、さすがに妥協するよね。

僅かな希望を胸に、お見合い列車に乗り込んだ。


 最初の人は知的な印象。

「へー、ゲームが好きなんですね」

「はい、大好きです」

その時、男の人のメガネがキラリと光った。

「そのゲームの面白いポイントを説明せよ」

なんで試験風?まあいいや。

んー。改めてゲームの面白いところを説明するとなると、難しいなぁ。

言葉の積み木を組み立てたり外したりしていると、続けてこう言われた。

「21字以内で説明してほしい」

ガラガラッ!

積み木がびっくりしたように音を立てて崩れた。

こんなの無理だよ、と思った私は、このまま答えられずに時間が過ぎた。

この人とは無理だった。


 ついに最後の一人になった。

まだいい人が見つからない。くじけそう。

最後の相手が自己紹介を始めた。

「僕の名前は神戸等こうべひとしです。よろしくお願いします」

真面目そうだ。こういう人となら幸せになれるかもしれない。

だけど、そう思ったのもつかの間だった。

ブッ!!

目の前から大きな音が鳴った。

彼は何事もなかったかのような顔をして続ける。

「僕の趣味はですねー…」

時間差で臭ってくる。

この人とも無理だった。


 電車から出る。

その先には今回の目的地である「ラブラブ遊園地」が。

ああ、また一人か。こんなところでぼっちなんて、遊園地が笑うよ。

周りを見る。

手を繋ぎ合っている男女がちらほら。

うらやましい。

「らららさんですよね?」

そばで声がした。振り向く。

さっきのおならの人だった。名前はおならじゃなくて……何だっけ?


 「このバッグ、あなたのですよね」

彼が差し出した白いバッグを見る。

間違いなく私のものだった。クマのキーホルダーが付いている。

「座席に置いたままでした」

私、忘れてたんだ、あの電車の中に。

それを届けてくれたのが彼だった。

これは運命かもしれない。そう感じずにはいられなかった。

あのことなんてどうでもいい。この人がいい。この人に付いていく。

この人しか見えない!

「あの、私あなたがいいです」

「え?」

「あなたの優しさに惚れました。私と結婚してくれますか?」

彼は驚きの表情。そして覚悟を決めた表情に変わり、

「はい、お願いします」

こうして二人の時間が始まった。

無事お見合い成功でした。

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