1/1
~ 甦る下総の武将編 ~
序章 ~目覚めた荒ぶるモノ~
夕暮れの校舎裏で1人の男子がブツブツと言いながら歩いていた。
「俺はこの高校の生徒会長だぞ、なのに・・・」
初秋の夕暮れは早いので既に外は薄暗くなって来ている。
この男子、名は平野 将臣と言い容姿端麗スポーツ万能、絵に描いた様な美男子で
漫画の主人公にでも成りそうなキャラである。
「なのにあの女め~・・・」
少し前の光景を思い出す、
「貴方とお付き合いは致しません」
余程悔しかったのであろう、
「生徒会副会長のくせに俺の誘いを断るなんて・・・」
両方の拳をグッと握りしめワナワナと体を震わせ
地面に向って言い放った。
「今に見ていろ、恥を掻かせた屈辱思い知らせてやる!」
薄暗くなった校舎裏の林の中から、
そんなブツブツ言っている平野の様子を窺っている影があった。
「ふっ、いつもの俺らしくないな・・・」
落ち着きを取り戻そうと襟元に指をかけて緩めようとした時、
背後の気配に気づき振り向いたその眼には巨大な影が映っていた。
「うわっ!!」
平野は一瞬にして影に飲み込まれた。