私流断罪劇回避術!
勢いで書いた
突然だがここは乙女ゲームの世界で私は異世界転生者である。
さらに悪役令嬢という役柄。
とまで言えばこの後の流れは分かっていただけると思う。
5歳の頃に皇太子と婚約者だと紹介されたところで記憶が戻り、その後は破滅回避のために動いた。皇太子や他の攻略対象者たちとの関係を良好に保てるように振舞ったし、婚約者として恥ずかしくないように様々な勉強も頑張った!
でもこれが強制力というやつか、なぜか攻略対象の面々からはゲームの設定通り身分を盾に好き勝手するわがまま令嬢と思われ嫌われた。私の性格がそもそも悪かったのかと思いへこんだこともあったが、攻略対象以外の人々とは良好な関係を築けているので多分違うと思いたい。そして、学園に入ってからはきっとヒロインも転生者なのであろうという手際で攻略対象たちは落とされていった。さらに、私がやってもいないヒロインへのイジメの首謀者という噂が流れ、彼らからの0に等しい好感度はマイナスに振り切った。
そしてまさに今卒業パーティーの真っ最中、この後皇太子入場の合図の後、入口のドアが開き皇太子にエスコートされたヒロインとそれを囲む攻略対象たちが入場し断罪劇が始まる。
ゲームの中では一番盛り上がるざまぁシーンですっきり爽快!で済むが、これが現実になるとそうは言ってられない。諸外国からの留学生や賓客がいる中で、たとえ本当に悪事を行っていたとしても、婚約破棄や断罪をこんな場所で行えば皇太子ひいてはこの国の信用はガタ落ちである。この世界で生き皇太子の婚約者として教育を受けたからこそ、私自身の破滅と国の信用どちらが重要か理解している。
だから、私は覚悟を決めた。
皇太子入場の声とラッパの音が会場中に鳴り響くと、会場は水を打ったように静かになり、入口のドアに注目が集まる。
ドアが開いていく中皇太子がヒロインをエスコートしているのが見えた瞬間。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~~~!!!!」
できるだけ野太い声で、叫ぶ!!
そして周りが驚きと困惑で固まっているうちに入口まで全力疾走!!!
「ぎぃゃ~~~~~あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~!」
叫び声も忘れずに!
そして、入口のドアを閉めながら皇太子とヒロインその他の元に突っ込む!!
衝撃冷めやらぬ間に話をつけておいた衛兵たちに攻略対象たちとヒロインを任せ、任務完了!
これが私流断罪劇回避術!
主人公はしっかり根回ししています、自分の社会的な死は覚悟の上。
だけど前世の知識もあるし平気、この後はスローライフか理解のある人と結婚して幸せに暮らす。
でもできれば、皇太子たちには断罪劇などしようとせずに穏便に婚約解消してくれるのを、ギリギリまで願っていた。そうでなければ、そもそもとっくの昔に婚約解消をするかヒロインを排除するかしていたはず。
攻略対象たちとヒロインはこの後お説教と再教育。
幸せになったかどうかはご想像にお任せします。
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