1日の始まり~
朝、5時に起きて1時間ゴロゴロする
ネットサーフィンで小説とエロ動画を見漁る
6時に体を起こしてお風呂へと向かう
朝シャワーに30分使って、20分で身支度
54分の電車に乗って学校へと向かう、
そんなよくいる普通の女子大学生(この作品の主人公)が、俺だ。
電車の中は混雑するものの席には必ず座れる。
決まった場所は無いが、大体女性が隣にいることが多い。
今日も丁度、60も半といった女性が座っていた
何度か咳き込む女性に目を向ければ、
ちょうどばっちり、視線が重なってしまう。
俺は普通の女子大生を代表して声をかける
「おはようございます。咳、大丈夫ですか?」
優しいえくぼのできた女性は少しばかり恥ずかしそうに返してくれた、
「気温の変化のせいか、電車に乗ると喉がねえ」
お年も関係あるのでは?というのは置いておく
大変ですね、と当たり障りのない相槌を打ちながらリュックをまさぐった、中には俺の大好物があるのだ
「あ、あった。」
こちらをみていた女性はお探しもの?
と、目当てを見つけた俺に微笑んでいる。
この年代の女性は、一度声をかけると降りるまでお喋りになるものだ。よくあることで、よくわかる。
真似るように微笑んで、見つけたそれを彼女に差し出した
「これ、昨日買った蜂蜜飴なんです。よろしければどうぞ」
「あらあら、もらちゃっていいの?」
彼女の目が輝く。俺は一度頷いて、まだあるとアピールするつもりで飴を頬張る。
うん、やっぱり好物はとても旨い。
彼女も俺を見て、飴を放り込んだ。あら、美味しいわねぇ。優しい反応にまた頷く。
飴を舐めだしてからは会話も無く、問題もなく、彼女は目的地へと送り届けられた。
降りる前に、彼女は手作りだという折紙の鶴をくれた。
これから友人のお見舞いに行くところだったらしい。
「行ってらっしゃい、気を付けて」
「あなたも、頑張ってらしてね」
そんな当たり障りの無い最後の会話を彼女とした。
俺にとってはよくある一期一会。
でもなんだか、貰った鶴がとても良いことをしました、と言っているようで。
名前も知らない彼女との30分と少しの時間は
なんだかいつもよりも、優しい時間になった。