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59 新たなる栽培

「さーそれじゃあたっくさんマジックアイテムを栽培しましょうかー!」


 ドワーフの国から帰って来た翌朝、やたらとテンションの高いサシャが報酬として貰ってきたマジックアイテムを抱えて畑にやって来た。


「はいはい。でもドワーフ国に納品する為のアダマンタイトも栽培しないといけないから、あんまり多くは栽培出来ないぞ」


 ちなみにドワーフ国の王都に作った畑は俺達が撤収する際に壊してある。

 あのままだとアダマンタイトが生える謎の植物が残っちゃうからね。


「あと約束のホイップクリームの木も忘れるでないぞ」


 と、フリューが皿に乗ったホイップクリームをもってやって来る。

 そっちもあったか。

 しかしこれ、どうやって植えたもんかな。

 酒が瓶ごと生えてきたし、これも瓶に入れて植えてみるかね。


「それにしても畑が狭い」


 一時期は緊急事態だった事もあって、畑を拡張してアダマンタイトをメインに栽培していたが、現在はそこまで急ぎでもなくなったのでアダマンタイトの生産量は落とす事にした。

 拡張した部分がある程度自由に使えるようになった事で、畑に余裕が出来るかと思ったんだが実際にはそうはならなかった。


 生産量は減ったとはいえ、アダマンタイトの需要は高いし、エルフの国に治める食料も国が相手なのでかなりの量だ。

 正直言ってメーネの超人スキルのお陰で収穫が間に合っているところが大きい。


 それにドワーフの国で新たに手に入れた品物も一通り植えたいので、やはり畑のスペースが足りなくなってくる。

 またメーネに頼んで畑を拡張しないとな。


「いや、野菜や果物くらいだったら普通に従業員に頼んで栽培して貰うか?」


 うん、マジックアイテムとか酒だともう見た目からしてダメだが、普通の植物の手入れと収穫なら妙に収穫まで早いけどそういう種類の木なんだろうなと思ってくれるだろう……多分。


 今度試してみるかな。

 ああそうだ、バレそうになったら、新しく手に入れたマジックアイテムかポーションの効果だとか適当な事を言ってゴマかすのもアリか。


「とりあえず、今はこのマジックアイテムを植えるとするか」


「あとホイップクリームな」


「はいはい」


 俺は畑に乗った僅かなスペースに二人が持ってきた品を植えてゆく。


「うふふ、 これは炎の弾を放つマジックアイテムなんだけど、以前持ち込んだ品と違って回数制限が無いものなんですって。代わりに術者の魔力を多少使うらしいんだけど、普通に炎の魔法を使うよりも魔力の消耗が少ないみたいなのよ。つまりこれは魔法を放つ際の補助具みたいね。このマジックアイテムを分解して中身の構造の違いを調べれば、今まで以上にマジックアイテムの構造に理解が及ぶようになるわ!」


 上機嫌なサシャが聞いても居ない事をペラペラと説明してくれる。

 けど畑作業中に身を乗り出しながら説明されると色々と危ないから離れていてくれないかな。

 それと、離れてと言えば……


「うーん、やっぱりちょっと狭すぎないかな?」


 畑に植えたマジックアイテムの近さが気になった。

 だって畑の空きスペースが狭いんだもん。


「大丈夫でしょ!」


「うむ! ホイップクリームが生えればそれで良いのだ!」


 明日まで待てば、納品用畑の拡張作業を終えたメーネが研究用の畑を作るのを手伝ってくれたものを。


 しかしお目当ての品を早く栽培してほしい二人には、そんな気遣いなど蚊帳の外なのだった。


 ◆


「な、何これぇーっ!?」


 翌朝、俺達は突然の悲鳴によって無理やり目覚めさせられた。


「な、なんだぁ!?」


 何事かと思って外に出てみれば、畑の隅にうずくまるサシャの姿があった。


「どうしたサシャ!?」


「マ、マジックアイテムが……」


「マジックアイテムがどうしたんだ?」


 サシャはワナワナと震えながら、土にまみれたマジックアイテムをとおぼしき道具をこちらに向けて来る。


「マジックアイテムが、となりのアイテムとくっついちゃったのよぉーっ!」


「……は?」


 一瞬俺はサシャが何を言っているのか分からなかった。

 いや、よく考えても分からない。


 マジックアイテムがくっついた?

 どういう意味だ?


 なんか糊のようなものでくっついたって事か?

 いやその割には元から一つの道具だったような形をしているし……っていうか、あんなマジックアイテム植えたっけ?


「んー?」


 俺は近づいてそのマジックアイテムを観察する。

 だがその形はやはり植えた覚えのないマジックアイテムだ。

 というかドワーフの国で貰ったマジックアイテムにもこんなの無かったよなぁ?


「ほら見て、ここの形状、昨日植えて貰った風の衝撃波を放つマジックアイテムでしょう?」


「ああ言われてみれば形が似てるな」


 確かにその部分の形は似ている。

 だがアレはもっと違う形をしていたから、やはりコレは別のマジックアイテムだろう。


「そしてこっちが昨日一緒に植えて貰った炎を放つマジックアイテムよ」


 確かにその部分も昨日植えたもう一つのマジックアイテムに似てるな。

 まさか、本当に昨日植えたマジックアイテムがくっついたって言うのか?


「でもそれなら元のマジックアイテムはどうなってるんだ?」


 もしこれが本当に二つのマジックアイテムがくっついて生えたのだと言うなら、元々の原型であるマジックアイテムに根っこが繋がっている筈だ。


 俺はマジックアイテムが生えた背の低い木の根元を掘り起こしていく。

 そしてそう時間を掛けずに埋めたマジックアイテムが見つかった。


「こ、これは!?」


 なんと驚いた事に、二つのマジックアイテムから生えた根は一つに繋がり、ちょうど二つのマジックアイテムの真ん中に一本の木が生えていたのだ。


「ほ、本当にマジックアイテムがくっついてたぁぁぁ!?」


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