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31 出来損ないの真価1

 何とかマジックアイテムを揃えた俺は、メーネとサシャを引き連れて急ぎ戦場へと向かった。


「間に合うでしょうか?」


 メーネが心配そうにつぶやく。


「一応杖の方はできた分から送ってあるから、すぐにピンチになる事はないと思うが……」


 とはいえ、荷物を往復して運び続けた従業員達の話では、かなりの数の魔物が居たらしいからな、急いで運んだ方が良いのは間違いない。


「とにかく急ぐぞ!」


 ◆


「見えて来た! あれが本陣よ!」


 サシャの指さした方角を見ると、街道からやや離れた平地に多くの旗や武装した人間達の姿があるのが見える。


 俺達は急ぎ陣に向かうと、近くに居た兵士に商品を持って来たとレンド伯爵に伝えて欲しいの伝言する。

 そして数分も経たずに連絡に向かった兵士が戻ってきて、俺達はそのまま馬車ごと陣の中へと案内された。


「おお、待ちわびていたよ!」


 言葉通り待ちわびていたのか、レンド伯爵が領主自ら出迎えてくれる。


「お待たせしました。御依頼の商品をお届けに参りました……と、言いたかったのですが」


 俺はそこで一旦言葉を切る。


「どうしたんだね!? まさかマジックアイテムが用意できなかったのかい!?」


 俺の態度にレンド伯爵だけでなく、周囲の側近達の青い顔になる。


「申し訳ありません、急な発注の増加に対応できず、ご希望の数を揃える事は出来ませんでした。ですが代わりに別のマジックアイテムを用意しました」


「なんだ驚かさないでくれ。まぁ緊急時だ、予定通り品が揃わずに代用品を使う事は珍しくないさ。それで、どんなマジックアイテムなんだい!?」


「どうぞ、これが新しいマジックアイテムです」


 レンド伯爵が早く見せろと急かしてくるので、俺は新しく収穫したマジックアイテムを見せる。


「これが新しいマジックアイテムなのかい? その、あまり変わりがないように見えるが……いや、これは……持つところが無い?」


 新しいマジックアイテムは一見魔法の杖とそっくりな形なので、レンド伯爵は面食らったみたいだ。


「これはどう使う物なんだい?」


「基本的には杖と同じで、ここのスイッチを押すとマジックアイテムは発動します。ただその後の使い方が今までの杖と違うので気を付けてください」


「使い方が違う? それはどういう意味だい?」


「それは実際に見て貰った方が早いでしょう」


 俺はメーネとレンド伯爵、それに護衛の騎士達を連れて物見櫓の上へと上がる。

 偉い人が登る事もあるのだろう。

 本陣の物見台は広く、デモンストレーションの会場にはぴったりだ。


「メーネ、やってくれ」


「はい!」


 マジックアイテムのスイッチを押したメーネがおもむろに振りかぶると、手にしたマジックアイテムを魔物達の群れに向かって勢いよく放り投げた。


 自陣の後方から投げたにもかかわらず、マジックアイテムはメーネの超人スキルのお陰で野球選手もビックリの飛距離で魔物達の群れの中へと届く。


「な、投げた!?」


 いきなり虎の子のマジックアイテムを投げられて、レンド伯爵達が驚愕する。


「マジックアイテムはスイッチを押して大体3秒後に発動します」


「3秒?」


「はい、その間に思いっきり遠くまで投げてください。すると……」


 と、その時魔物達の群れの中ほどから大きな爆発が生じた。


「あのように大爆発します」


「ば、爆発!?」


 ギョッとした顔になったレンド伯爵達が馬車に視線を向け、わずかに後ずさる。


「一回きりの使い捨てですが、見た通り威力は今までの魔法の杖よりも上です。その名もマナグレネード! いかがでしょうか商品」


「マ、マナグレネード……」


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