1章 4話
サクラが3日前に突如として現れた謎の城にいるかもしれないということをおっちゃんに話すリュウキとアスカ、そしてちびに出ることになったリュウキはおっちゃんに勧められ、鍛冶屋に行くことにする。
俺は、サクラが3日前に突如出現した北の城にいるかもしれないということを話した。
「ていうことで、俺はこれから旅の準備を整えて、北の城を目指して旅をしようと思う」
「話は分かった。そういうことならば、俺は全力でお前をサポートさせてもらう」
「ありがとう!おっちゃん」
相変わらず話が分かりすぎるおっちゃんに違和感を覚えつつ俺はその違和感には何故か触れようとしなかった。
「あの~すいません。旅をするなら私も連れて行ってはくれないでしょうか?」
「なんで、死ぬかもしれない旅に連れて行けなんて、俺には責任は負いかねない」
俺がそのまま断ろうとしたとき、アスカさんの顔が少し険しくなり、
「だからこそです、あなたにはサクラさんの為にも死んでほしくないので、あなたが死んでしまうと、サクラさんが悲しむかもしれないじゃないですか」
アスカさんの最もな発言に俺は断るに断れなくなってしまった。
「仕方ない。じゃあとりあえず装備を整えて、仲間を集めましょう」
「ありがとうございます!」
(礼を言うのは俺の方なんだがな。流石に、俺が死んだらサクラも悲しむよな)
「じゃあ、装備を整えに行こうか。おっちゃん、どこかいい店はないか?」
「ああ、なら俺も一緒に行ってやろう。昔からの友人が鍛冶屋をやっていてな、そいつはドワーフなんだがちぃと気難しい奴でよ、俺以外の人間とは話すらまともにしようとしないんだ、そんな奴でもいいか?」
「ああ、構わねぇ。ありがとう!おっちゃん」
俺たちは朝飯を食べ終わると、おっちゃんの友達のドワーフの鍛冶屋へ行くことにした。
西の繁華街の裏路地にあるドワーフの鍛冶屋にて
「おう!久しぶりだな!フロワード」
おっちゃんがそう呼ぶドワーフはフロワードという名前らしい。
よくあるファンタジー系アニメにいそうな低身長で足が短く、腕がものすごく太くて、ひげが生えている。
「久しいな、何年ぶりだ?」
「ん~そうだな、5年くらいじゃないか?」
おっちゃんとフロワードさんは本当に仲がよさそうに話していた。
「ところで」
ここで、いきなりフロワードさんが怒っているかのように顔をこわばらせた。
「こいつらは何者だ?」
案の定俺とアスカさんのことだった。
この様子を見る限り、フロワードさんは俺の予想を超える人嫌いらしい。
「ああ、今日はこいつの装備をこしらえてほしくて来たんだ」
相変わらずおっちゃんは笑顔で対応する。
「お前も知っているだろう。俺が大の人間嫌いだってことを」
「ああ、知っているともだからこそ来たんじゃないか」
「どういう意味だ?」
俺とアスカさんもフロワードさん同様おっちゃんの言っている意味が理解できず、少し首をかしげる。
「お前が人間嫌いになった理由はもちろん知っている。だが、俺とお前さんがこうして友になれたのだ。昔あったことはもう忘れろ。いつまでも昔のことを引きずっていても仕方回じゃないか。」
「忘れろだと?流石にそれは無理な相談だ。この坊主が必ずしもお前みたいな人間とは限らんからな」
「この俺が連れてきた人間だぞ?こいつがあんなことをする人間だったら俺はこいつをここへは連れては来ない」
「確かにお前と同じような眼つきをしてやがる。いいだろう武器をこしらえてやる。装備に関してはここで買って行ってもらう」
こうして、おっちゃんの説得の元、フロワードさんを説得することに成功した俺達だった。
「ところで坊主、どんな武器がいいんだ、どんなものでの最高級品レベルで仕上げてやるぜ」
「さっきアスカさん聞いたんだが、魔法を使うには杖がいるそうじゃないか」
実は、この鍛冶屋に来る途中でアスカさんから魔法のあれこれを、教えてもらっていたのだ。
「ああ、まぁ当たり前のことだが、魔法使いは、頭の中で魔方陣を描き、それを杖を介してマナを使い大気中に浮かび上がらせ、さらに、魔方陣へマナを送ることで魔法が成立するわけだからな」
「つまり、魔法を使うには、杖が必要不可欠なわけだ」
「まぁそうなるな」
「ここで、ロングソードの中に杖を仕込ませることはできないだろうか?」
「不可能ではないが、かなり時間のかかる作業になりそうだ。如何せんそんなことをしようなんて奴は初めてだからな」
そう、俺はこの世界にはないものをフロワードさんに作らせようとしているのだ。
アスカさんから魔法の話を聞いているときに思ったのだ、「なぜ、剣術と魔法を1人で併用できないのか」と、それをアスカさんに聞くと、「だって、剣士は剣術しか基本的には扱えないし、それと同様に魔法使いも基本的には魔法しか扱えないわ。たとえ、例外があったとしても必ずどちらかに偏って、バランスが悪くなって、アーティに襲われて終わりよ」ということだった。
それを聞いて、俺はならば、杖と武器を一体化させてしまえばいいのだはないかという結果になり、剣術と魔法に関しては、均等に学べばいいと思った。
「つまり、剣術と魔法を金とに学び、その両方をうまく利用することができれば、やつらにも勝てるような力を手に入れることができると思うんだ」
俺はサクラを救うには、どのような武器を用いれば騎士団を1体で全滅までに追いやった奴等に対抗できるかと考えた結果、近距離、遠距離ともに対応できるようにすることが一番だと思っいそのことをフロワードさんに伝えた。
「坊主のやりたいことは分かった。だが、魔法はコツをつかむことさえできれば、ある程度、中級魔法くらいは扱えるようになるだろうが、剣術はどうするつもりだ?今から学ぶにしては、時間がかかりすぎるぞ?」
「剣については少し自信があってな、昔色々とあって剣を扱いなれている」
「まぁ剣術についてはそれでいいとするか。次は魔石だが」
「魔石っていうのは杖に取り付けるやつか?」
魔石についても来る途中にアスカさんに聞いていた。
マナの塊でそれをつけることで魔法陣を展開する時に必要だそうだ。
「そうだ。魔石を取り付けないとロクに魔方陣が展開できずに、魔法を使うことができなくなる」
「で、魔石にも種類があるのか?」
「ああ、魔石の種類は、『攻撃型』、『防御型』、『支援型』があるこの中から1種類選び、自身の戦い方を決めるのだが、坊主の場合、剣と杖の一体型だから、どうせ『攻撃型』を選ぶのだろう?」
フロワードさんが魔石の種類の説明をしていた時、既に『攻撃型』にしようと思っていたのでフロワードさんはとても話が速くて助かる。
すごくスムーズに話を進めることができる。
「ああ、もちろん『攻撃型』だ」
「じゃあ、それで作らせてもらう」
「ありがとうフロワードさん、助かる」
「3日ほど時間をくれそれまでに仕上げてやる」
フロワードさんの鍛冶屋の帰り道で
「よかったな、男であいつに信用されるのは俺以来だ」
「そういえば、なんでおっちゃんは人間嫌いのフロワードさんと友達なんだ?」
フロワードさんが人間嫌いということを聞いてから疑問に思っていたのだ。
何故、人間を嫌っているフロワードさんと人間のおっちゃんだ友好関係にあり、どうしてそんなにも仲がいいのかと。
「それはだなぁ、あいつの過去にも関わるから、あいつの許しを得ずにってのはなぁ」
「そうか、ならいい」
流石に俺も人のプライベートにかかわるよなことはしないのでこれ以上干渉するのはやめることにした。
異世界モノクローム 1章 4話を読んでいただきありがとうございます。
今回は、前回サクラの居場所についておおよその見当がついたリュウキが旅の準備を始め、武器をフロワードに注文した帰り道での終了となってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
ご意見、感想などは作者が大変喜びますので書いていただけると嬉しいです。
次回は8月の17日、金曜日に投稿する予定でございます。