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RPGな現実世界  作者: こなた
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9.強敵あらわる

スライムとは、RPGでよく序盤の雑魚キャラとして出てくる定番モンスターとして知られている。

この目の前にいる"コイツ"も例外ではなく、しっかり『Lv1』と表記されている。

俺がよくやる、ドラマルクエストではプルプルしたイメージだったが……。



ベチャッ!ベチャッ!


目の前の青いスライムがゆっくりゆっくりこちらに近づいてくる。

プルプルというより、ベタベタという言葉が似合いそうだ。

しかし、スライムってどんな攻撃をしてくるんだ…?

ゲームだと、体当たりしてたけど…。

と、次の瞬間。

スライムの体から触手のように体が伸び、俺の方へとその触手が迫ってくる!

咄嗟に握っていた短剣を振り、その触手を切る。

「悠、大丈夫!?」

美月が、こちらを見て声をかけてくる。

「ああ、大丈夫だ。おい!美月!次、来るぞっ!」

スライムがまた触手を形成し、今度は美月の方へめがけて触手を伸ばす。

「わわわわっ!いやあっ!やめてっ!」

美月は目を瞑って、手持ちのダガーを振り回すが空を切るだけで触手には当たらない。

そのまま、触手は美月に巻き付き締め付ける。

「うっ…!動けないよぉ…っ!」

巻きついた触手によって、美月の豊満な体が強調される。

スカートがめくり上がり、胸のボタンが外れ下着が見えてしまう。

年頃の男の子には少し刺激が強い。

よしよし、いいぞ~。もっとやれ…!

そして、俺はスライムを心の中で応援する。

「ね、ねえ!ちょっとっ!見てないで助けてよぉ!」

………ん?

「あっ!お、おう!ちょっと待ってろ。」

しょうがなく、美月を締め付けていた触手を切り、解放してやる。

美月の服はスライムのせいで濡れてはだけてしまっていた。

その場に座り込み、手で自分の身体を隠す。

「みっ、見ないでぇ…!」

えっ…えろい…。

スライムなんで放っておいて、ずっと見てたいという煩悩が生まれる。

しかし、その欲求を抑えて、まずはスライム討伐に専念する。

またも伸ばしていた触手を切られたスライムは、今度は2つ同時に俺の方へと伸ばしてきた。

それを上手く避けてどちらも切り捨てる。

そして、すぐさまスライムの方へと駆けていく。


家を出る前に、冒険者の心得にスキルの使い方が書いてあるのを発見した。

スキルの発動にはそのスキルの名前を頭の中で念じればいいらしい。

初心者のLv1にも使えるスキルは一つだけあった---



『チャージソード!』


頭の中でそう念じ、短剣を振りかざす。

短剣に光が集まり、少しばかりの輝きを放つ。



………今だっ!

光が集まりきり、絶妙なタイミングで短剣をスライムへと振り下ろした。

バシュッ!!!

スライムを一刀両断し、形状を維持出来なくなったのか、その場にボロボロと体の破片を落としていく。

その瞬間、『+2EXP』と少しの間視界に映り、またすぐにその文字は消えた。

表示された経験値獲得の知らせは、勝利を確信させた。

「やった…やったぞ!勝ったぞ!!おい!美月!!」

初勝利に興奮し、美月に呼びかけて勝利の喜びを伝えようとする。

しかし、美月は悠とは真逆に意気消沈していた…。

「良かったじゃない…。私なんて…もうこんなの、お嫁に行けないわぁ…ぐすんっ。」

美月は涙を浮かべ、もう嫌だと駄々をこね始めた。

俺はさっきの欲望はいつの間にやら消え、先を急ぐために美月の説得を試みるのであった。


美月の機嫌が治るまで休憩をすることにした。

結局1時間休憩し、その後なんとか落ち着きを取り戻した美月に、俺がスライム狩り担当するからと、再度出発した。

それから、約2時間ほど経っただろうか、林を抜けルーブ川へと到着した。

途中魔物に遭遇することはあったが、全てスライムだった。

スライム担当はもちろん俺で、いつの間にやら経験値はもうすぐレベルアップ手前まで溜まっていた。

レベルアップってどうなるんだろうか…?


林を出た時には、川は満潮でまわりは真っ暗だったので、川渡りは翌日にすることになった。

川辺にキャンプすることにし、木を集めマッチで火をつけた。

焚き火を囲んでお互い持参の缶詰を食べる。

「なんか、今日1日っていろいろありすぎだよねぇ…。つかれちゃったわ。」

本当に、色々あった。

今日は1日昨日買ったゲームをするのかと思いきや、まさかこんなことになるなんて誰が想像出来たか。

「ほんとな。それでも、これが現実で生きていかなきゃならない世界なんだから…。」

「うん…わかってる。」

美月は目の前の火を見つめて、そう答えた。

「私、頑張る。本当はまだ世界が変わっただなんて信じられないけど、実際に変わってるんだし…。

悠も決意して旅に出たんでしょ。」

美月の目が僕を見る。

「悠が頑張るなら、私も頑張る…。」

俺に決意を話してくれた。

「うん、頑張ろう。とりあえず、スライム討伐からな」

「それだけは絶対に!嫌っ!!!」

スライム討伐ができるようになるのはまだまだ先みたいだ。

そんな話を少しばかりして、二人は眠りについた…。


夜が明け、RPG世界二日目が始まった。

朝になってもよほど疲れていたのか、二人はなかなか起きない。

川は干潮になり、石でできた橋が向こう岸へと繋がっていた。




「グォォォオオッ!!!!」



突然、凄まじい獣の鳴き声聞こえた。

「…ん!?なんだ!!?」

「…ふぇ??なにぃ??」

悠と美月は二人とも飛び起き、周りを見渡した。見える限りでは何もいない。

しかし、一応武器を取り出し周りを警戒した。


……どさっ!


すると、いきなり女の子が林の方から飛んできた。

いや、"何か"に飛ばされたように川辺へと飛んできたのだ。

女の子はそのまま立ち上がらず、倒れたままだ。

俺たちは、その子所へ駆け寄り、女の子の身体を起こした。

黄金色のロングの髪に、肌は透き通るような白さで、綺麗な顔をしているが、所々傷がある。

幸いにも息はしており、意識を失っているだけだ。

「美月、ポーション!!」

美月は首を縦に振り、慌ててストレージからポーションを出現させその子に飲ませた。

ゴクッ

「うっ…!……」

少し回復したのか、傷が癒えていく。

良かった。なんとか助かりそうだ。


すると、林の方から物音がする。

音からして大きく、そして獰猛さが伝わってくる。

林に影が見え始め、それが出てくると太陽の光で正体が顕となる。

イノシシ……?いや、違う。昔見た事のあるものとは完全に違った。

青い身体に、既視のものよりひと回りは大きい。

大きい牙は口から2本飛び出していて、あれに刺されれば一溜りもない。

「グォォォオッ」

ここまで近くまで来ると、鳴き声もけたましく耳へと響く。

名前とレベルが表示される。


『Lv3・ワイルドボア』


Lv3!?スライム以外の魔獣は初めてだ!

くっ…!こいつがこの子をやったに違いない。

「美月!その子を少し遠くにやってくれ!!俺がこいつを倒す!」

「そんなっ!!無茶よ!あんなのに一人で戦うだなんて!」

無茶でも何でも、この状況やるしかないだろ…。

「大丈夫だ!それより、早くその子を移動するんだ!!!」




---ワイルドボアは、俺たちを待つことなくこちらへ突進し始めた。



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