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RPGな現実世界  作者: こなた
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4.妹との邂逅

妹・唯の部屋に入ったことは今までで一度もない。

何より、唯がいる時は入室は許されないし、年頃の女の子の部屋にいない時に入ろうだなんて考えたことは微塵もない。

俺と妹とのコミュニケーションは、いつも同じだ。


『妹からのクレームを壁を挟んで聞き、俺が謝罪する。』


俺はここ約3年間、まともに唯と会って話をしたことが無いし、顔すら見ることもままならない。

なぜ、こうなってしまったのか--?

それは分からないが、一つ言えるのは"妹から"避け始めたのだ。





コンッ!コンッ!


「唯!起きてるの!入るわよ。」

何度か母さんが呼びかけをするが、返事がない。

ドアノブに手をかけ、ドアを開けようとする。




…ん?


ふと気がついたが……俺、妹の部屋入るの何気に、初めてじゃね!?!?



さっきまで世界がRPGになった疑惑で、喜び、テンションが高かった俺は、心臓の鼓動が急に早くなる。


やばい!やばい!そう言えば、初めてじゃんかっ!妹の部屋入るの!?


妹の部屋が気になるか否かと言われれば、気になる。

そういうお年頃だし……ね?

そうこう考えているうちに、ドアが開き、俺的未開の地が視界に映り始めた。


唯の部屋は白が基調な、いかにも女の子という感じの可愛らしい部屋だ。

隣の俺の部屋より少し大きいだろうか…?

近くのハンガーラックには、俺と同じ学校の女子制服に、色々なコートやジャケットが掛かっている。

部屋の床は綺麗で俺の部屋みたいにソフトが散らかっている…なんてことはない。

くっ…!これがA型とO型の差か…!

などと、自分のだらしなさを血液型のせいにしていると、部屋の右奥にベッドを発見し、そこに妹が寝ているのを確認した。


実に、3年ぶりと言っても過言ではない再会。

唯は寝やすいようにか、絹のように綺麗な黒髪をゴムで一つに纏めて、ポニーテールにしていた。

身体を横にして、クマのぬいぐるみを抱いて寝ている。可愛い。

じっくり見るのは久しぶりだが、やはり以前見た時より成長している。

……ゴクリッ

思わず息を止めた。

13歳で幼くもはだけたパジャマ姿という妖艶な姿に、俺は釘付けになった。


「起きなさい!唯!大変よっ!」

母さんが、気持ちよく眠る唯に少し大きくした声で起こそうとする、。


「んーっん?……まだご飯食べられないよぉ〜…ムニャムニャ」

可愛い妹はご飯を食べている夢でも見ているのか、寝言を言っている。

しかし、母も負けじと起こそうとする。

「ほらっ!起きなさいってば!!」

唯の身体を揺すって起こそうとする。

流石に、起きたようで大きな可愛い目がゆっくりと開く。

唯が身体をベッドから起き、まだ完全に開いてない目で周囲を見渡す。


「……んーっ…あれ…?お母さん…?おはよ〜…」


母さんを見て、寝ぼけた声で朝の挨拶をする。


「驚いたわよ、全然起きないんだから!"こんなこと"があって、起きないから意識がなくなっちゃったかと思ったわ!もうっ!」

「えへへ〜…昨日寝るの遅かったから…。ところで、"こんなこと"っ…………!?!?」




……ん?




唯の言葉が途中で止まり、俺の方を目を見開いて見てくる。

俺も改めて、唯を見るが、やはり可愛い。

大きなくりっとした黒い瞳に、整った顔立ち。

これから成長すると思うと…楽しみだな--

なんて考えていると……

目線をさっきからずらさず、俺を見ている唯の頬が急激に赤くなっていく。



そして数秒の沈黙のあと--




「なっ……!なっ…!なんでっ!なんで!お兄ちゃんがここにいるのよおおおおおおお!」



朝から妹の渾身の叫びが部屋中、いや家中に響き渡った。


さらに、唯は自分のパジャマがはだけている事に気づき、手でさっ!っと自分の身体を抱いて、俺を睨んできた。



「いやっ…!ほら!"こんなこと"になっちゃってるし、大丈夫かなって心配して来ただけでさっ…!別に、妹の部屋に入りたいとか、そういうのじゃなくて!だからその……!」


必死に弁解するも、唯が俺に向ける鋭い眼差しは、尚も続く。


「う~~~っ…はっ…恥ずかしいからっ…!お兄ちゃんは出てって…!」


唯は顔を赤らめながら、俺に追放処分を言い渡した。

くっ……!

これは誤解を解くためには出ていくしかないか…。



立ち去るべきか否か、考えていたところ

「唯れ少し落ち着いて!悠も話がややこしくなるから!先にリビングに行ってなさい。」

と母さんか言った。

よし、そうしておこう…。

俺は覚悟を決め、もう一度唯に謝ってから妹の部屋からエスケープした。

ああ、これ第一印象最悪じゃん……。




階段を降りてリビングに入ると、ソファーに座り、二人を待った。


起きて目に映るものについて驚いたであろう、妹の本日二回目の渾身の叫びがリビングまで聞こえてくるのに、数分もかからなかった。



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