2.不思議なゲーム
2階の自室にたどり着いた俺は、荷物を床に置き、背中からベッドへ倒れた。
「ふぅ〜っ!つっかれたぁあ!!」
改めて、受験お疲れ様!!俺、よく頑張ったよ!
自分で自分を褒めてあげる。
試験結果は2週間後に届くらしい。とりあえず、受かってますように…!
まあ、受験のことは置いておいて…
お待ちかねの〜〜ゲームでもしますか〜!
ベッドから身体を起こした。
「フフン♪フ〜ン♪フッフフン〜♪」
鼻歌を歌いながら、さっき買ってきたゲームの袋を捌くる。
どれからプレイしようか吟味中なのだ。
「うーん!このプロ野球24XXもいいよなぁ〜、でもやっぱりガンゴム戦記か〜?うーん!」
悩みに悩んでいたところに、一つだけ、名前しか書かれていないパッケージを見つけた。
「あれ…?こんなの買ったっけ…?」
しかも、これ中古だよな…?ってことはジャンルは……RPG…!?
実はさっきゲームショップで買った時、新作はオールジャンルいろいろ買ったが、中古はRPGしか買っていないのだ。
しかし、妙だ…RPGなら、プレイヤーのプレイ意欲を刺激するようなイラストでパッケージを飾っているはず…。
これは……??
一面白色に黒の文字で題名だけ、しかも聞いたことのない名前…。
「リアル…オンライン…?」
『リアル・オンライン』
たったそれだけ、題名だけ書いてあるのだ。
うーん…これは……!俺がプレイして批評してみるか…!?
俺はよくゲームをクリアしたあと、Twitterに批評を書いているのだ。
ちなみにフォロワー3万人と、なかなか好評。
「よいしょっ…っと」
パッケージからソフトを取り出し、ベッドから少し離れた所にあるゲーム機にソフトを入れる。
…ウィーン…ウィーンッ!
読み込み音が聞こえ、ゲーム機のトップ画面から黒い画面に変わる…。
………。
3分経っても…何も起こらない……。
「はぁぁぁあああ??これ、不良品かよぉ!!」
中古品でたまにある、いわゆるハズレだ。
くそっ!メインメニューまで読み込みさえしないなんて酷すぎるだろっ!
「はぁぁぁぁーっ」
深い深いため息を吐き、スマホを手に取り、Twitterを開く
『【悲報】起動すらしいゴミゲー発見』
今までで史上最悪な批判をTwitterで書き込んだ後、ほかのゲームをやるため、電源をとりあえず切ろうとゲーム機に手を伸ばした。
……ピコンッ
ん?今何かテレビから音が………
なんだこれ…?????
「キミは、このままでいいのかい?」
白い字で中央にただそれだけが映っていた。
え?どういう意味だ??てか、なんだこの質問…??
数秒すると、『はい』と『いいえ』の選択肢が浮かび上がってきた。
どういう事だ…?これはよく分からないけど、俺のことを言ってるのか?
確かに俺はこのままの人生は嫌だと思ってる。みんなと同じような生活を送り、普通に人生を終えるなんて、クソ喰らえだと思っている。
俺の人生ゲームはクソゲーだって何回考えたことか…。
ふと、これから俺が歩んでいくであろう未来を想像してしまった。
「っ……いいわけ…ないだろっ…!」
俺は、歯を強く噛み、いいえの方を選択し、〇ボタンを押した。
その瞬間、文字は消え、ゲーム機も電源が勝手に切れ、テレビも切れていた。
……えっ?どういうこと?何も無いけど…???
いやいや、結局あれですか。クソゲーってやつですよね…。
何か起きるのかなんて、変な妄想した俺が悪かった…。
…。
「このクソゲーがっ!!!」
俺は思わず、叫んでしまった。でも流石に、ここまで煽っておいてこれはひどいだろう。
ドンッ!!ドンッ!!
隣の部屋から壁を叩く音がした。これは、うるさすぎたのかも…。隣の部屋は妹の部屋だ。
「お兄ちゃん!!うるさいっ!勉強に集中できないでしょ!」
やばい…!めっちゃ怒ってるよ…!!
「わぁっ!ごめんよっ!」
「…」
一応謝るが、返事はない。
妹は丁度学校のテスト期間で勉強に集中したいのだろう。悪いことをしたな……。
ちなみに、妹との会話は壁を通してするのが基本だ。ご飯も僕だけご飯の時間が別なのだ。←(僕が希望した)
実際に顔を合わせて話すことなんてない。
怒られた僕は静かにゲーム機から件のディスクを取り出し、違うゲームソフトを入れた。
そのあとは、反省して妹に怒られないよう、イヤホンをかけ、静かにゲームをした。
しかし、受験の疲れからかゲームを長時間することもなく、早めに眠りについた。