第1章
俺は言われるがままシャロ手に捕まった。次の瞬間、フワッとしたフリーフォールのような浮遊感に襲われる。まずい。
「うわぁぁぁぁぁぁ俺落ちるのダメなんだよぉぉぉぉぁぉ」
馬鹿みたいに叫んでいる間にも地面は近づいてくる。なんとか体勢を立て直し着地、ドスンッ!という音と共に衝撃が足から響いてくる。裕也は涙を拭きながら独り言で愚痴を呟く
「よ、よく着地できたな俺。とゆうか、陸に
転移してこれなかったのか?」
プルルルル......
ガラケーが落ちていた。俺のだ。スマホと二台持ちなのだがスマホは見当たらない。とりあえず出てみた
「はい、もしもし和泉ですが?」
「私よ。無事に転移できたわね」
澄んだ綺麗な声が聞こえてくる。シャロだなと裕也は思う。
「私はこっちの世界じゃ姿を現せないの。でも電話は出来るから気になることがあったら電話をかけるといいわ。あと敬語は面倒よ、やめましょう」
「分かった」と言うと裕也は一番気になっていることを聞く。
「それじゃあ......魔法ってどう使うの?」
早く使いたい気持ちが滲み出ている。
「魔法は民達の中に魔導師がいるから聞いてちょうだい」
裕也は「なーんだ」と思いつつも
「了解。まずどこにいけばいい?」
「民達の現在の拠点が北に8キロ程進んだところにあるわ。まずそこへ向かってちょうだい。あと...地図はこの携帯にあるわ、水と食料と少しお金の入ったバッグがそこにあると思うのだけれど。それはあなたにあげるから好きに使っていいわ。さっきも言ったけれど、この世界はRPGだと思ってくれていいわ。レベルが上がるごとにさらに強くなったり使える魔法が増えたりするわ。魔法は教わってからじゃないと使えないけどね」
「まぁゲームだと思ってやりながら覚えるよ。
それじゃまた」
「ええ、幸運を祈るわ」
「誰に祈るんだよ。お前神様だろ」と裕也は心の中でツッこんだ。
「さて、行くか」
魔法ってどんな感じなんだろうなとかどんな魔物がいるんだろうなと思いながら裕也は北へと進み始めた。
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