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天使になる前

ソフトSM・性的な表現あり

「三俣くん、可哀想だね。」


私は彼の部屋の椅子に跨る。

そこからだと、煎餅布団に転がる三俣くんを見下ろせた。


「アサヨ……なんでこんなことするんだよ……。」


「アハ。」


三俣くんは震えていた。

半裸の状態でネクタイで目隠しをされ、自分のベルトで後ろ手に腕を固定されたら怯えるしか無いだろう。


「本当に可哀想。

でも三俣くんが悪いんだよ?せっかく勉強教えてあげたのに、こんな点数取るから……。」


私は彼から貰った国語の答案用紙を見る。

その点数は32点。もっと頑張ってもらわないと、兄のように留年してしまうだろう。

あんな奴のようになってもらっては困る。


「どーしてこぉんな点数取るのかなあ?」


「ちが、わざとじゃないんだ……。」


「わざとでもこんな点数取れないよ。

ねえ、私言ったよね?

赤点とったらお仕置きって。」


彼の鎖骨を足先で撫でると、ビクッと体が跳ねた。

その体は乾いていた。


「お仕置き、しよっか。」


私は立ち上がって、三俣くんの体をうつ伏せにする。

彼の腹を私の膝に乗せて。


「アサヨ、何する気だ……?」


「古今東西、悪い子に与える罰と言えばこれじゃない?」


私は三俣くんのズボンを下げた。

黒いボクサーパンツが露わになる。

意外とちゃんとしたパンツ履いてるんだ。

くまの柄のパンツとか履いてそうだけど。


「うあっ!?」


私は三俣くんのお尻を撫でる。

女の子のように柔らかくはないが、叩き甲斐はありそうだ。


「今から10回叩くから。」


「や、やだ!やめてくれ!」


懇願する三俣くんを無視して、私は思いっきり腕を振り下ろした。

パァンといい音がする。

手のひらがジリジリしたが、それ以上に三俣くんの肌が自分の手の形に赤くなることに興奮した。


彼は色白だから綺麗につくと思ったけど、想像よりずっとイイ。


「いた……い……。」


彼は身を縮めて泣いていた。

可哀想に。

その泣き顔が見たくて、目隠しを外す。


「当たり前でしょ。痛くしてるの。

いい、これは罰なのよ?

ほらあと9回。頑張ってね?」


彼は潤んで赤くなった目で私を見た。

可哀想。

可哀想で可哀想で可愛くて可愛くて。


「いやだ……ごめんなさい……もう悪い点数取らないから……。」


「だーめ。ちゃんと罰は受けないと。」


私は再び腕を振り下ろす。

三俣くんの体がビクンと跳ねた。


「ごめんなさい、ごめんなさい、」


彼は顔を赤くして謝っていた。

なんて可哀想なんだろう。ますます興奮してくる。


と同時に、彼の体の変化に気付く。

顔を赤くし息を荒げていたのはどうも恐怖からだけでは無いようだ。


「あと8回。」


空気が破裂したようないい音がする。


「はっ、あっ、いた……!」


「アハ、痛いだけじゃないでしょ?

三俣くんも、楽しんでくれてるみたいで私嬉しい。」


続けて2発叩く。

彼はシーツを噛んで声を押し殺し始めた。


「ダメだよ、シーツ噛んだら。」


「さ、叫んじゃう、から。壁薄いから、聞こえちゃう、」


叫んじゃうのではなく喘いじゃうの間違でしょ、と指摘するのはやめておいた。


「ダメだって。」


私は彼の口に自分の指を突っ込んだ。

舌を弄ぶ。

柔らかくて気持ちいい。


「んんっ!?ア……ッ!」


私の名前を呼ぼうとしたのだろうけど、それは痛みの嬌声に変わる。


「壁薄いんでしょ?声抑えて抑えて。」


私がそう言うと、三俣くんは必死で私の指を吸い始めた。

噛むのはマズイと判断したのだろう。


「アハ、上手だね。気持ちいい。

でもだからって叩くのやめたりしないよ?」


そう言ってまた2発叩く。

くぐもった声が彼から聞こえてきた。

可哀想な三俣くん。

なすすべも無くこんな辱め受けて。


「アサヨ、アサヨ、」


三俣くんは泣きながら私の名前を呼ぶ。

可哀想だなあ。


「あと3回だよ。」


さすがに手がビリビリしてきたけれど、これも三俣くんを虐めたためだと思ったら堪らなかった。

興奮して、強く叩いてしまう。


「いあっ!?」


「あ、ごめんね、強くしすぎちゃった……。

でもあと2回だよ。頑張ってね。」


三俣くんは震えていた。

口に指を咥えさせられ、目に涙を湛え、顔を赤くして、女の子のように喘いで。

なんて可哀想なんだろう。なんて、なんて、ああもう、可愛い!


「ひっ、あっ、……」


勢い余って先ほどより強い力で、それも2回叩いてしまった。

三俣くんはブルブルと震え、それからがくりと力なく崩れた。

下着は白いもので汚れている。


「よく頑張ったね。

もう、赤点取ったらダメだよ?

ちゃんと授業とか補講に出ること。わかった?」


三俣くんは荒い息を上げるだけで返事をしない。というか、出来ないのだろう。

私は赤くなった彼のお尻を撫でた。


「いい子の三俣くんは、ちゃんと私の言うこと聞いてくれるって信じてるから。」


彼の体を退かし立ち上がると、タオルと新しい下着を探して渡す。


「アサヨ……。」


「なあに?」


「俺のこと捨てない?」


三俣くんは怯えきった目で私を見つめていた。

ああ、どうしよう。

こんなにも可愛い人がいるだなんて。


「捨てないよ。ほら、早く着替えて。

お出かけしよ?」


もし、もし彼のことをこっ酷く捨てたらどうなるんだろう。

もし冷たい扱いをしたら、もし、ううん、もしじゃない。やろう。

私に傷つけられる三俣くんが見たい。可哀想な三俣くんが見たくて見たくて堪らない!


こんな感情、今まで誰にも抱いたことなかった。

今まで他の奴やらは私を楽しませるオモチャくらいに思っていたけれど、三俣くんは違う。

私の、私だけの宝物。


✳︎


「……アサヨ……。」


彼は私に縋り付いて眠る。


私が天使となってカラコルムに傷つけられていたところを彼に拾われて、一緒に暮らしている。


三俣くんの親はネグレクトで出て行き、更に兄は成人してどっかに行ってしまったとのこと。お金だけは振り込まれているので生きてはいるだろうと三俣くんは言っていた。


どの家も親というのはどうしようもない屑で、兄というのは下衆の塊なんだろうか?

ドラマにあるような幸せな家庭とは妄想の産物?


「三俣くん?」


「……ん……。」


寝言で私の名前を呼んだのか。

なんとも可愛いことをしてくれる。


私は彼の肌の赤い線を撫でた。

私がつけた傷。


可哀想な三俣くんは、私が傷をつければつけるほど喜んだ。

元々マゾっ気があったからだろうけど、それ以上に私に痕を残されるのが嬉しいと言っていた。


「……アサヨ。捨てないで……。」


ギュッと三俣くんが抱きついてくる。

半分くらい起きてるようだ。

本当に可愛いんだから。


「捨てないよ。」


前は捨てて楽しもうと思ったら、あのクソッタレの大喰 槍が三俣くんに構い出してしまったし、更には悪魔まで周りをうろつくこととなってしまった。

……まああの悪魔はいいか。

私を天使にした張本人とは言え、あの二人……両親の願いを全く違う風に叶えてやってくれたわけだし。


なにが天使のような子だ。バーカ。

あの悪魔はあの二人の願いを聞くとニヤリと笑った。

それから、私にだけ聞こえる声で「子供は親のオモチャじゃない、だろう?」と言った。

私が頷くと悪魔は満足そうに頷いて「天使にしてやろう。力のある天使に、こいつらを嬲る力のある天使にな」と言い、私を天使にした。


兄に取り憑いて願いを叶えてやろうとしたのは想定外だった。


さっさと魔界に帰って欲しくて、白嶺ちゃんにかけた兄の呪いを解いてやったというのに、何故か魔界に帰らず三俣くんの周りをウロウロしてるのも想定外だ。

何考えてるんだか。悪魔の思考はサッパリだ。


でも、それよりも芙蓉くんと三保ちゃん……カラコルムだ。

まさかあんなに強いだなんて。


33の命でどうのこうのと言っていた。

つまり芙蓉くんは33人の命を使ってあの悪魔を呼び出したのだ。

それは勝てないよね。


33人も死んだらニュースになりそうなものだと調べたところ、1クラス丸々行方不明になっている事件があった。

多分それが関係しているのだろう。

そのクラスは担任の先生を合わせて34人。

担任の先生は前日、廃ビルに見学に行くと語っていたそうだが。


何があったかはわからない。

ただ、芙蓉くんが人を殺したのは事実だ。


「三俣くん、危険な人とばっかり仲良いんだから。」


危険じゃないのは白嶺ちゃんくらい?

あの子もある意味危険か。

あの大喰 槍が執着してるし。


「心配ばっかりさせて……。」


ふうと息を吐く。

もうすっかり体の調子は良くなったし、いつでも出ていけるのに彼が心配でどこにも行けない。


「……仕方がないから、三俣くんが死ぬまではここにいることにするね。」


私がそう言うと、三俣くんは安心したように「うん」と言った。

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