5
ユリエッタは魔法大学に通っていた。アンドロイド王国に唯一ある大学で主に軍人を育てるための大学だった。
巨大な鉄の門の奥に野球場くらいの大きさの建物がある。見たこともないほど巨大だった。
ケイトという老婆が見繕ってくれた鞄の中には一本の杖があった。どうやらその老婆の家は昔金持ちだったらしい。
「あぶないから振り回さないでね」
ケイトは注意深くユリエッタに言った。
「わかった。私は学校にいけばいいのね。なんのことだかわからないけどとにかく頑張る」
ユリエッタはそう言い残し二人が住む部屋を出ていった。
街の中央には時計台があった。奇妙にもどこかで見たことがある気がした。
大学には大きな講義室があり、そこで軍事に関する授業を受けた。
「敵が前方から攻めてきた場合、対象に対して一斉に攻撃するべきではありません。主に三回に分けて敵を攻撃することで敵に対して脅威を与えることが可能となります」
女の教授はそう説明した。
「あなた! この問題わかる?」
突然ユリエッタは教授にさされた。
「すみません。わかりません」
教室の中で小さな笑い声が響いた。
「あなたあの一族の娘じゃないの?」
教室は一斉に沈黙に包まれた。
「まぁいいわ。後ろの人」
教授はそう言ってその日の授業は終わった。