3
目覚めるとユリは小屋の中で目を覚ました。辺りには木のテーブルとイスしかない。とても小さなそれも木造の部屋だった。
「ここは?」
ユリはそう言ったが誰もいないので返事がない。辺りは明るくおそらく朝だった。
小さなベッドから体を起こすとベッドがきしむ音がした。
ゆっくりとあたりを歩く。ぼろいワンピースを身にまとっているだけだった。
「ここはどこよ!?」
今度は大きな声で叫ぶ。
「うるさいわねえ」
隣でおばさんの声が聞こえた。
「誰?」
ユリは驚いたように部屋の扉を開けた老婆を見た。
「ユリエッタ、あんたこんな朝早くに怒鳴ったら近所迷惑じゃない」
「ユリエッタ?」
「あんたの名前だよ」
老婆はあきれたようにユリ(ユリエッタ)を眺め首を振る。中世のヨーロッパみたいな服を着た肌が黒みがかった老婆だった。
「あんたこそ誰よ?」
ユリエッタも怒鳴る。
「ケイトでしょ。何ふざけているの? あなたにやとわれた小間使いよ」
「あんたを雇った覚えなんかない。いったいここはどこよ?」
「魔法の国アンドロイド」
「魔法の国?」
「もういいわ。朝食を作るから座って頂戴。本当はもう少し寝ていたかったんだけど」