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放課後に校内を散歩していた。ユリとケイタは仲のいい同級生だった。友達以上恋人未満といった感じだった。
グラウンドに部活動の声が響き渡る。音楽室から吹奏楽部の演奏が聞こえる。遠くでカラスが鳴いている。
「この後カフェで勉強でもしない?」
ユリはそう言ってケイタを誘う。
「別にいいよ。受験まじかだもんな」
二人はそう言って学内から郊外へ向かう。
バスの中で彼ら二人とおばあさんと他の学生が無言で乗っていた。
静かに住宅を越えて駅前で停車する。
「またあのカフェか。ファミレスの方がよくない?」
「どっちでもいい」
ユリはそう言ってケイタについていく。物静かなユリと真面目なケイタだった。
奇妙にも二人は同じクラスがずっと続いていた。
夕暮れの空がきれいなグラデーションを彩っていた。
ファミレスの中は少し騒がしかった。
二人は四人掛けの席に座りコーラを注文した。
「隣の席のカワイ君。国立うけるんだって」
「すげえなあいつ。俺なんかどこも受かんなそう」
コーラがやってきて二人で飲む。
炭酸がはじける。
「受験むずい」
ユリはノートを広げて不平を言う。
「俺なんかどこも受かんねえんだって。数学なんかまるっきりわからん」
ケイタはバスケ部を引退し今はユリやほかの友達と一緒に勉強していることが多かった。
ファミレスの中は彼らと同じ高校の生徒もいて笑い声が聞こえた。
二人は夜になるまでファミレスで勉強していた。
「そろそろ家かえろ」
ユリとケイタは割り勘して店を出た。
外は秋の冷たい風が吹いていて昼間よりずっと涼しい。
きらきらと銀色の星が空に輝いていた。
どこか大気は心地がよかった。
変な雰囲気のまま二人は郊外の駅の電車に乗る。
車内はすいていた。サラリーマンの姿もあった。電車はがたごと先へ進んでいく。
「じゃあね」
駅につくとユリは電車を降りた。
「また明日な」
ケイタは手を振った。
電車の扉が閉まる。手はわずかに汗ばんでいた。
家の最寄り駅でケイタも電車を降りた。
携帯電話には友達からメッセージが届いていた。
駅を通り過ぎて家の続く道を歩く。
時折風に乗って枯れ葉が舞う。
すっかり木は葉を失っていた。