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蜘蛛

目を覚ますと俺の胸を枕にして寝ている銀髪の少女…体を起こそうとするが…蜘蛛の前脚?と糸で手足が抑えられていることに気づく…動けない。なんとか抜け出そうとするが…ビクともしない…無理だ。


「んぁ…むぅ…」


やばい…蜘蛛が起きた…どうしよう。


「あら…起きたのね。あなたは何?」


「…質問の意味がわからないんだが…俺のことを殺さないのか…?」


「殺す…どうやって?」


「…いや…え?殺すって言ってなかたっけ?」


「そのつもりだったわよ?でも、どうやったら殺せるかわからないから、諦めたの。」


「そうか…。」

よくわからないけど、殺されないのならありがたい。


「で…なんで俺は拘束されてるんだ?離してくれないか?」


「ダメ…逃げるでしょ?」


「えーと?俺を拘束する理由はないよね?」


「食事よ。私の」


俺は餌か…食うために殺さなかったのか…詰んだ。


「…あの、俺は美味しくないと思うぞ?」

前世にも増して痩せっぽちだし


「…いえ、美味しいわよ貴方…さっき食べたもの。」


?…なんか会話がおかしいな?どうせ死ぬならひと思いに殺してほしい。


「それで貴方は何なの?私は他の神々の眷族が鬱陶しいからここに隠れてるんだけど…なぜ貴方から私の神と同じ匂いがするの?」


私の神?言葉だけ聴くとマウレやベルテが言っていた言葉と一緒のように思うが…こんな眷族がいたか?


我(俺)の記憶を探るが…カオスロードに巨大な蜘蛛が3匹いたことしか思い出せない。


うん…いないなこんな眷族。その時、蜘蛛が俺の目を覗き込んでいることに気づく。


「あら…懐かしい。私が進化する前の姿…なるほど…貴方混ざっているのね。」


そう言うと、蜘蛛は興奮したのか肌に朱がさし、目が潤んでいる。


「心を読めるのか?」


「私は神から蜘蛛の姿を与えられ、言葉を話せなかったから…神の意思は言葉ではなく、その御心に触れることで理解していたの。」


なるほど、どおりで言葉で指示しなくても思ったとおりに動くはずだ。とはいえ、進化ってなんだ?眷族は姿は変わらないはずだが…。


「それはね…私達が緑の賢神の一部を食べて、今の姿を願ったからよ。願ったとおりにはならなかったけどね。」


恐らく完全な人間の姿を願ったにだろう。というか心を読むのやめて…


「緑の賢神の一部を食べた?どうやって?」

緑の賢神は五大神の一人だ。上級眷族といえども勝てるはずがない。


「ふふ…あなた様がお隠れになってから、上級眷族は執拗な攻撃を受けたの。私達も存在が消えかかっていたわ。でも、小さくなった私達の存在に気が付かずに神々同士で殺しあってくれたおかげで、偶然ね…緑の賢神の一部を食べられたのよ。」


「バレなかったのか?」


「いえ、すぐにバレたわ。特に緑の賢神の眷族は執拗に攻撃してきた。でも、既に十分な回復をして進化した後だったし、神々は互いを封印して行動不能になってたから相手は上級眷族だけ、逃げるだけなら簡単だったの。」


「私達ってことは…お前ら確か三匹いたよな?何匹が全員進化したのか?」


「三人とも進化したわ。でも、妹達は馬鹿だから封印されちゃったみたい。私はこの地下洞窟に逃げ込んで無事だけどね。」


全員メスなのか?


「こんなところで、何年いたんだ?」


「どのくらいかしら?100年くらいまでは気にしてたんだけど忘れちゃった。でも、運がいいわ。あなた様が手に入るなんて、進化してからと言うものあなた様をこの腕で抱きしめる事をずっと夢見てきたのだから…」


そう言うと両の手を俺の背中に回し、抱きついてくる。その身体は柔らかく女性そのものである。抵抗の術もないので身をまかせようとして、あることを思い出す。


「おい…さっき俺のことを食事って言ったよね?」


「ええ…食事でもあるわね。とはいえ魔力をさっきからもらっているのだけど?気づかない?」


?よく感じてみると確かに、蜘蛛に引っ張られる感覚がある。これ魔力吸い切られて死ぬんじゃないか?


「大丈夫よ。出口は小さいみたいだけど、あなた様の魔力は上級眷族が吸ったくらいじゃ枯渇しないわ。まるでいくらでも湧き出てくる泉みたい。」


「…心を読むのやめてくれないか?会話できるなら会話でいいだろ?」

でもそれなら、死ぬ心配はないのか。安心して身体から力が抜ける。


「ん〜努力するわ。」


ん!?もしかして言うこと聞いてくれるのか?これはもしかしてマウレを助けられるのでは?


「もし、俺が力を貸してくれと言ったら貸してくれるのか?」


「いいわよ。でも、条件があるわ…」


どんな条件でも飲んでやる。死なないならね。いや…やっぱり条件を聞いてから決めよう。

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