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ソフィと旅を始めて一週間が過ぎた。何度か魔獣や盗賊に襲われたが…全てソフィが倒している。大人しそうな獣人の美少女が、短剣を持って返り血に濡れる姿はある種の美しさを感じさせるが、寝起きに見ると割とホラーだ。


旅は驚くほどに楽だ。何故なら必要なことは全てソフィがやってくれるから!やってくれるから!ただ、ここまで至れり尽くせりだと、逆に俺の存在意義は?となる。


というより、ソフィの能力高すぎない?獣人ってみんなこうなのか?チートじゃね?


「ソフィ…いつも悪いね。全部やらせてしまって…。」


「いえ、とんでもありません。眷属様のために行動出来るのは獣人にとって最も嬉しいことなのです。その様なお言葉もったいないです。」


「いや、正直な話…俺が眷属ってのも眉唾だし…心苦しいっていうか。」


「フェル様は間違いなく眷属でございます。」


「それは匂いでってこと?」


「はい、それもありますが、獣人は眷属様から感謝されたり、必要にされたりすると多幸感を感じるのです。フェル様のソレは、マウレ様よりも強いのです。つまり、フェル様はマウレ様より上位の眷属ということです。」


んー?マウレもベルタも似たようなことを言っていたが、それを真に受けていいのだろうか?だいたいそうだとしても、現状は何の役にもたっていない。あー考えるのやめた!


とりあえず出来ることをやるだけだ。ソフィに基礎的な魔法や武術を習いながら旅を続けることにする。今は何の効果も実感出来ないが…いずれ効果が出ると信じよう。


ソフィに教えてもらった通り、瞑想し魔力を感じる。人の人格の方が強いが、神であった記憶もあるので魔力を感じること自体は簡単に出来るのだが…身体の中で動かせても外に出すことができないのだ。


身体の中には満ち溢れているのに出すことができない…これでは絵に描いた餅と変わらない。さらに、ソフィには俺の魔力が感知できないらしい。


使えないのだから、下手に周りにバレて標的にされるよりは、感知できないのはありがたいことだ。ただ、それでは俺が感じているのが魔力なのか確かめられない。感覚が似ているだけで別物の可能性もある。


まぁ、今は考えても無駄か…役に立つか分からんが、身体の中で魔力を循環させる練習だけを繰り返す。少しずつ操作出来るようになっているように思う。


一通り終えると、ソフィから声がかかる。


「フェル様…寝床の準備が出来ましたので先にお休みください。」


睡眠は交代で取ることにしている。ソフィは寝ていても、何かあれば即座に起きて対応できるのだが…俺のわがままで交代することになっている。


「わかった。ありがとう。」


ここで譲り合っても、時間を消費するだけなので素直に受ける。慣れたとはいえ一日中歩いているのだ疲れていないはずない。横になると直ぐに意識を手放した。


何時間ほど経ったのだろうか…ソフィの声で目を覚ます。


「ああ…悪い…交代の時間?」

と寝ぼけて言ったが、ソフィは俺が起きて交代と言わなければ、朝まで俺が寝ていても起こすことはない。


起こしたということは、何かしらの異常があったのだろう。


「フィン様…どうやら討伐隊に捕捉されたようです。申し訳ありませんが直ぐにこの場から離れましょう。」


捕捉?見ればかなり遠くに松明の光が数十本見えるが、まだ見つかっているようには見えない。


「匂いです。奴ら獣人の奴隷を使って獣人を探させているのです。こちらが匂いを感知しているので、向こうも分かっているはずです。」


疑問が顔に出ていたのだろう。ソフィが説明してくれる。奴隷契約を結べば意思を無視した命令でも従わなければならない。なるほど、逃げた方が良さそうだ。


必要な手荷物だけを持ちその場を離れることにする。

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