表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

ハッタリ

おいおい…ベルテさん。俺にいきなり話しを振るなよ。俺は前世で…初対面の女の子とまともに話せたことなど一度もない男だぞ。クソォ…童貞舐めんな。


と心の中で悪態をついたが、俺がなんか言わないと話しが進まないようだ。ここは一つハッタリでこの場を乗り切るとするか。


「…おい、ウェルベックっとか言ったな?」


…ビック!と身体を震わす吸血鬼ウェルベック。あらやだ可愛い。


「何よ…。」


「ここで退くならば、こちらは追わない。ただ、村人に危害を加えるなら容赦はしない。」


「な…なんでや…許すやなんて…。」

マウレが何か言っているが、勘違いして貰っては困る。俺には戦闘能力はないのだ。攻撃を反射したようだが、全ての攻撃が反射されるとは限らない。実際、マウレには何度か殴られてるし、さっき吸血鬼には突き飛ばされたし、もしかしたら攻撃できる手段があるのかもしれない。


「…舐められたものね。見逃すって言うの?」


「そうだ。君を殺してもメリットがない。」


「また、獣人を殺すかもしれないわ。」


「そうなったら…君を確実に殺す。だが、君はやれないさ安全(・・)でないと分かっているのに手を出すほど君は馬鹿じゃない。」


「な!?…どこまで知っているの?」


「…何も知らないさ。ただの勘だよ。」

自慢じゃないが勘なんて今まで当たった試しがない。常識的なことを尤もらしく言おうと適当に言ってたら、相手が核心をつかれたみたいな反応をしたので、適当に合わせて言っているだけだ。本当に何も知らん。


「…分かったわ。ここは引かせてもらう。」


「逃げるんか?」

おいおい…やめろマウレ…挑発するな。せっかく退いてくれるんだ。素直に、さよならしようぜ


「そうね。逃げさしてもらうわ。上級眷属の相手なんてしてられない。これでも、自分の命は大切なのよ。」


「他人の命は何とも思わへんのに…大した心構えやな。」


「否定はしないわ。私は自分が生き残ることしか興味ないから…それに、吸血鬼はそう生きるように作られてるの。」


「ふん…大層な理由やな。もう顔も見とうないわ…とっといねや。」


「そうね…そうさせてもらうわ。上級眷属がいればあの専門部隊もどうにかなるかもしれないしね。」


あの専門部隊?どう言うことだ?何か知っているのか…問いただそうとすると、すでに吸血鬼は霞となって消えていた。こういうところは、前の世界の作り話と同じなんだな。


などとしょうもない事を考えていると…ベルテが話し掛けてくる。


「ふー…助かりました。フェル様…」


「ん?ああ…勘違いしてくれて助かりましたね。」


「そうなんよ。お姉はんがゴネ出した時は生きた心地がせんでしたわ。」

そんなやりとりをしているとマウレが近づいてきた。


「何で逃したんや?フェル」


コイツまだ分かってないのか。ああ、もう説明がめんどくせぇ。


「帰ったら説明するよ…それよりマウレ…なんか言うことないの?」


「何がや?」


「君は僕に仕事を押し付けて、遊んでたらしいじゃないか…どういうことかな?」


「いや…それわやな…まぁええやんか。はは…」


いいわけあるか。お前にはいつか性的な仕返しをしてやる。まぁ、今日は疲れた。


「まぁ、いいや。今日は疲れた。帰って飯食べよう。」


「そや…それがいい!嫌なこと全部忘れようや。今日は何にするん?」


いや、お前が仕事を押し付けて遊んでいたことは絶対に忘れんが…


「キノコと猪肉が残ってるから、それを使って…」


「ウチはステーキがいい!」


「分かった。じゃあそうしよう。」


「フェル様はお姉はんに甘いんどすなぁ。」


「ん?そうか?別に遊んでた件は許した訳じゃないぞ。それより、ベルテもどうだ飯食うか?」


「いいんどすか…?」


「いいよ。2人前も3人前も変わんないし、みんなで食べた方が美味しいだろ?」


「…変な眷属ですなぁ…フェル様は」


そうか?一般的な考えだと思うが、まぁ、ベルテが言うならこちらではそうなのかもな。そんな、たわいない話しをしながら家に向かう。一時はどうなるかと思ったが何とか無事に終えることができた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ