ティモフリィア②
マラソン大会で疲れきった頭を使い書いたので、何か今までのよりもヘンテコリンになってそうです。
「その情報は本当なの?」
エリが真剣な声でローブ男に問いただした。
「勿論本当だ、実際に会ってきた訳だしな」
「佐藤さん、早速城に乗り込んで倒してしまいましょう」
今までとは違い目には殺意が込められていた。しかし……
「断る」
地面が突然隆起し槍のように鋭くなり俺の体の寸前で止まった。
「何で断るの? どうせ勇者を倒すならその仲間と戦うのは避けられないよ、なら今のうちに倒しても変わらないでしょ? まさか怖じけづいちゃったの?」
勇者達はとても仲が良いのでも有名だからその内の誰か一人にでも手を出せば、全員を敵にまわすのは俺にでも容易に想像できる。
「違う、違うんだ……俺が断ったのは怖じけついたからじゃないんだ」
「じゃあどうして」
「その人の名前がリア・ティモールドだからだ」
そう、それは俺が最初にこの世界に来た時のことだった、町ではなく森に出てきてしまった俺はある女性に助けられた。俺は森を抜けたとき女性に名前を聞くとリア・ティモールドと名乗っていた。
「とてもじゃないがあのリアさんが高い税金をせびるような人とは思えないんだ」
そう、あんなに華麗で優しいリアさんがそんなことするはずがない
「なぁ、捕まってる立場から言うのはあれだがよ、お前一目惚れだな?」
俺の心が今までにないくらい高鳴った。
「成る程、だから断ったのか」
エリが今の一目惚れの発言に納得したのか、呆れている。
「ち、違う! 別にそんなんじゃない!」
俺は全力でそれを否定する、俺が一目惚れ何てしてるわけない!
「だが高い金を取っているのは事実だ、それにお前が一緒にいたのは少しだけなんだろ?」
ローブ男が途端に真面目になり、痛いところをついてきた。
「そ、そうだが……とにかく! 俺はまだ信じれない、実際に会ってみて話しがしたい」
そう、もしかしたら何か強制的にやらされているのかもしれない、話し合いを一回だけでもしなくては。
「けどどうやって会いに行くの? 今は指名手配中だからろくに城にも入れないし、佐藤自身が話を聞きに行っても嘘つかれるかもよ」
確かにそうだ、指名手配されているから城には近づけないし、話を聞けたとしてもその場しのぎで嘘をつかれてしまうかもしれない。
「いやいや簡単だろそんなの、城に入れてかつちゃんと話を聞けるやつがいるだろ、ここにさ」
クールがそう言って指を指したのはローブ男だった。
「指名手配犯の捕獲、ご苦労でした」
今俺の目の前にいる、宝石をあしらったティアラを着け輝く糸を使用したドレスを着ているこの人は、この国の王であるリア・ティモールド本人だ。
「勿体ないお言葉です」
「さて……そろそろ本題に入るとしましょう、褒美は何がよいですか?」
来てしまったよ……俺敵にはもっと違うのが良かったけど……
「それでは二つほど聞きたいことがあります……王は何故この国の税金をここまで高くしているのですか?」
「そのような事で良いのですが……そうですね、ではまずあなたにとってお金とは何ですか?」
どんなことを言うかと思えば……お金とは何かだって? そんなもの決まってる
「私にとってはお金とは生きるため、そして贅沢をするために欠かせないものです」
これしかないだろ、金が無くちゃ腹が減り死ぬ、病気になっても治せずに死ぬ、暇すぎて死ぬからな。
「そうですか……確かにそうですね、お金とは本来そういうものです、ですが私は違うのです」
「私は違う? それはどういうところが違うのですか?」
「私はお金という物をとても愛していますが……愛しているといってもあなたは達とは違い性的に愛しているのです」
「せ、性的に……ですか」
「えぇ、私はまだ幼かった時ですが、あまりのお金の無さに親を殺して親の体や内蔵を病院に売りました、そのときにお金を貰ったのですがそのお金がまるで妹のようにとてもとても愛らしくて、今でも大事に持っている程です」
「い、今でも……ですか」
「はい、そして他の人がお金を持っている所を見ると妹をとられたかのように腹がたってしまい、今回正式に王になった事ですし根こそぎお金を奪い、そして奪ったお金を全てめでたかったのです」
何か、俺もう帰りたくなってきた……
「そ、それではもうひとつ……あの指名手配されている佐藤というやつをどう思いますか?」
「彼ですか……実は彼には以前一回お会いしたことがありましたが……」
「そ、それで」
「どうでも良いと思いました、正直伝説の鍛冶屋の孫と言われていたのでお金を持ってると思ってたのですが……お金が微塵もないし、作る物は伝説の鍛冶屋の孫が作ったとかどうかで貴重品だからって取り扱ってくれないから売れもしないしで期待外れでした」
「そ、そうですか……」
「うぅ、なにもぞごまでいわなぐでもいいじゃないが……」
俺は今心がボロボロになっていた……というのも捜査魔法と言うカテゴリの中にある魔法「イトデン」と言うものでローブ男とリアの会話を全て聞いてしまったからだ。この魔法の効果は魔法を掛けた対象が聞いたものを使用者又は聞かせたいもの全てに聞かせることが出来るというものだ。
「元気出せよ、逆に考えるんだ、あんな奴もう食べられたっていいさと」
「そうだよ、あんなお金に興奮するような変態女はさっさと倒して二度と思い出さないようにしといた方がいいよ」
俺を慰めてくれるクールとエリの優しさに徐々にボロボロだった俺の心が立ち直っていく。
「うん……ふぅ、ありがとな慰めてくれて、俺はもうリアについてはもう満足したよ、だから……」
心の整理もついた、というよりこの金をあまり稼げてないことを馬鹿にされた悲しみと怒りを無意識のうちに整理される前にさっさと勝負をつけたかった。
「クール、エリ、あいつもう倒していいよ」
こうして俺たちによる護の王の血肉祭計画が始まった