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こういう時、無宗教は困ります。

祈りの間で、未だ光っている俺。

驚き固まっている女の子。

ええと、まずは光ってるのをどうにかしないと…。


「天使様?」


女の子が再度問いかけてくる。違うと言おうとして息を飲んだ。

何この 美 少 女 !!

ピンクがかった薄茶の髪は腰まで緩やかに波打ち、長い睫毛に縁取られた空色の瞳は大きく見開かれている。俺の顔を見て赤く染まっていく頬も、ぷくりとした唇も彼女の魅力を引き立てている。

年は俺と同じくらいだろうか。すごくモテる子なんだろうな。


「僕はクラウス。君は?」


とりあえず王子ルックで微笑むと、少女はさらに赤くなった。…だ、大丈夫かな。湯気出そうな感じだけど。


「私はセシリア…です…光の天使様…」


「天使ではなくクラウスと。僕は人なんだから」


微笑みを絶やさず、ゆっくりと言い聞かせる。謎の光は治まったし、とにかく気のせいだという事にしよう。

セシリアは頬の赤みはそのままに、プルプルと首を振り「絶対に天使様です!光ってました!神の御使い様です!」と言っている。うーん困った。


「セシリア、この方はクラウス第三王子殿下ですよ」


「お父様!」


天の助けとはこの事かもしれない。

音もなく入って来た男性は神官服を着ていた。セシリアと同じ髪色と瞳を持つ彼は、俺に向かって丁寧にお辞儀をした。


「殿下、私はサウス・ウィンスターと申します。この礼拝堂の司祭でございます。これは娘のセシリアです。セシリア、殿下にきちんと挨拶なさい」


「……セシリア・ウィンスターです。よろしくお願いします」


不満げに挨拶するセシリアは頬をぷくーっと膨らませてる。そんな顔も可愛いな。さすが美少女。


「クラウス・ドライ・エルトーデです。よろしく」


こちらも背すじを正して正式に挨拶する。

この世界にはたくさん神が存在していて、そんな神の窓口になるのが教会であり、神官は神の声が聞こえるというのが最低限求められる。

故に、神官は尊敬される存在であり、司祭ともなれば高位の神聖魔法が使える…らしい。

サウスは若く見えるけど司祭。ということは、かなりの実力者なのだと思う。レベルも高いんだろうな。

セシリアが不満げにサウスの服を引っ張る。


「お父様、クラウス様は光の天使様じゃないの?」


「確かに祈りの場で光る事は滅多にないことだけど……クラウス殿下、もしや神様から祝福を受けていませんか?」


「祝福?」


そっと目を閉じステータスを見ると、慈愛の神の加護が増えていた。ちょ、おい、どういう事だよ。

動揺する俺を見て、サウスはニコリと笑って頷く。


「どうやら殿下は神様に愛されているようですね。あながちセシリアの御使い様というのも否定できないかもしれませんね」


「違います」


今度は動揺せずに言えた…と思う。でもサウスは笑顔のまま俺を見ている…なんか見通されてる感じがして、少し落ち着かない気分になる。


「そうだサウス司祭、書庫への行き方を教えてもらっても?」


「ああ、殿下は勉強熱心なのですね。セシリアも見習って欲しいものです」


「あはは…」


またしても膨らむセシリア。うん可愛い。王子スマイルで微笑んだらまた赤くなった。可愛いし面白い。

せっかくだから案内するというサウスと、なぜかついてきたセシリアと共に書庫へ行く。

これからは迂闊に礼拝堂で祈らない方がいいな。気をつけよう。


「こちらが書庫ですよ」


「ありがとう」


礼を言うと、サウスは空色の瞳を細めて笑顔で言った。


「殿下、殿下が必要とされた時、私は必ず力になりましょう。覚えていてくださいね」


「……うん。ありがとう」


戸惑いながらも承諾すると、サウスはグズるセシリアを連れて去って行った。礼拝堂の掃除の途中だという。セシリア小さいのに偉いな。


サウスの…教会の力を必要とするのかは分からないけど、良い出会いをしたかもしれない。

滅多に外に出ない俺のことを知っているのは少し疑問に思うけど、考えても分からないことは気にしないようにしよう。

今は魔法のことを調べなきゃと、俺は書庫に入るのだった。










お読みいただき、ありがとうございます。

セシリアはヒロインなのか…?

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