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フリースタイル  作者: カブリネコ
過去の後悔をふりきって
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山本幸隆

 山本幸隆は中学生になってバスケットボールを始めた。上手くなるのが楽しくて、勝てるようになるのが嬉しくて、どんどん練習にのめり込んだ。


 放課後も昼休みも、朝早く起きて練習するのも苦じゃなかった。


 中学一年生の二学期に入った辺りから二年生を差し置いてレギュラーメンバー入りを果たした。


 そこからは更に練習に打ち込み、どんどん上達していった。雲行きが怪しくなってきたのは中学二年生の後半になったあたりからだった。


 もともと先輩を差し置いてレギュラーになったのだから、嫉妬ややっかみを受けるのはわかっていた。


 それは当然の結果で、悔しいと思う気持ちも十分理解できる。だから不快だと思うことも、煩わしいと思うこともなかった。


 多少の嫌がらせを受けたってバスケットボールを好きな気持ちに変わりはなく、寧ろこれくらい受けて当然だと感じていた。


 一人で練習をし続け、三年生が引退した後に顧問の監督に主将に任命された。

 顧問はあまり部活動に熱心なタイプではなく、生徒の自主性を重んじるという建前で、主将である幸隆に主導権を握らせてしまった。張り切った幸隆はさらに練習量を増やした。


 自分の分の練習量だけではなく、チーム全体の練習量を。

 幸隆は気づいていなかった。周りが着いてこれなくなっていることに。


「皆頑張れ。これで強くなれば地区予選突破だけじゃなく、県大会優勝も夢じゃなくなるはずだ」


 最初は着いてきていたチームメイト達は少しずつ不満を募らせていく。ある者は部活に来なくなり、ある者は幸隆にパスを回さなくなるなどの嫌がらせを行う。


 それでもやり方を変えなかったのは、ある意味幸隆が精神的に強かったというのもあるだろう。

 やる気のある奴は着いてきてくれる。きっと解ってくれる奴はいる。


 そして三年生になった時、ついに部員全員から拒絶された。


 高校でレスリング部に入部したのは、龍生からの誘いもあるが、一人で戦うことが出来るから。どこまで一人で強くなり続けても、周りを気にしなくても良いから。


「誰も俺に着いてこれないのなら、着いてこなくて良い。俺は俺が強くなり続けることだけを考えて、周囲の奴らなんて置いていってやる」


 どこまでも強くなり続けることに貪欲な、止まることが出来ない少年がそこにはいた。

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