団体戦の終わり
「すみません佳祐先輩」
「謝るな康太。お前は良くやった。後は任せろ」
次の試合に入る間際、そんなやり取りを交わす先輩達。
悔しそうにうつむく康太の肩を佳祐が力強く叩く。
次の試合で勝った学校が、正真正銘団体戦での優勝となる。相手は二年生のようだった。
「よう光一。去年84kg級だったお前が階級あげたって事は、瞬は団体戦には出ないんだな」
「そうっすよ。佳祐先輩の相手は俺が務めるっす」
階級の変動があったらしい首里工業高校の選手は物怖じすることなく、佳祐の質問に答える。
「そうか……よろしく頼むぜ」
試合開始のベルが鳴り、お互いに組み合う。
佳祐が先に動き、相手の右肘を掴み外し、強引に組み合いを終わらせる。
光一がもう一度組み合おうとしてきた時、相手の首と右肘を強引に掴み右足を軸に半回転。
首投げを行って袈裟固めに持ち込んだ。
光一も必死に抵抗するが、力まかせの首投げの割に抜け出すことが出来ない。
そのまま佳祐先輩が抑えこみ、フォール。わずか40秒で試合が終わりを告げた。
「悪いな光一。必死に階級を上げてきたんだと思うんだが、俺とお前とじゃ差がありすぎる」
これで通天高校の優勝が確定し、団体戦は終わりを告げた。
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ミーティングが終わり、康太は一人、人気のない体育館裏まで来ていた。
全力を出した。そのための練習もしてきた。
去年の雪辱を果たすために、キツイ練習にも耐えてきた。間違いなく本気を出した。
「それでも……勝てなかった」
目に片手をあて、涙を流す康太。
「ちくしょう」
誰にも見られていないその涙は、流れ落ちるのが止まらない。
「それでも……諦めはしない」
涙を拭った康太は、個人戦が行われる体育館に向け歩き出した。




