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フリースタイル  作者: カブリネコ
過去の後悔をふりきって
18/71

大会前夜

「スパーリング終わりっダウンして集合!」


 龍生が掛け声をかけ、その日の練習が終わりを迎える。ダウンと呼ばれる最後のランニングと整理体操を終えて、海生はいつもの練習が終った後の自主練に励もうとするが、上地から集合の声がかかった。


「あー今日は明日の説明をするから、ちょっと集まってね」


 明日の説明とは大会についての説明だろう。


「まずは団体戦のメンバーから発表する」



 道場の壁に一枚の紙が貼りだされた。団体戦のメンバーが書いてある紙だ。


 50kg級  仲村渠 匠

 55kg級  山本 幸隆

 60kg級  大城 龍生

 66kg級  上島 彰

 74kg級  宮城 安則

 84kg級  中村 康太

 120kg級  与那覇 佳祐



 二、三年生の中に混じって幸隆の名前も入っている。一年生で団体戦のメンバーに入ることが出来るとはさすがだ。

 団体戦に96㎏級はなく、佳祐が120㎏級で出場することになる。団体戦では96kg級から120kg級に出ていい決まりになっている。


「後は個人戦は皆で出てもらうから、軽量のための最後の調整を忘れないように」


 レスリングは階級によって分かれているため、体重の調整を行わなければならない。50kg級なら50kgより体重が上だと出場出来なくなり、55kg級なら50kgから55kgの間の体重でないと出場出来なくなってしまう、という区分けだ。


 もともとの体重がその中に収まっていれば良いのだが、そうでない部員は減量のために殺気だっていた。

 減量中の部員の前で不用意に食べ物を食べてしまおうものなら、たちまち技をかけられ落とされてしまう。


 紀之などはその餌食になり、先輩たちに技をかけられてしまっていた。何故か康則に裏に連れて行かれ戻ってきた時には、

「もうお婿に行けない」

 と嘆いていた。

 何をされたのか、どんな技をかけられたのかは分からない。分かりたくもなかった。


 海生は66kg級なのに対して63kgだったため、特に問題なく大会を迎えられる状態だ。


「来たね大会」


「来ましたよ大会」


 美優と優香の二人がニヤニヤと笑みを浮かべている。何か良いことでもあるのだろうか?

 不思議そうに二人を見る海生に気づき、二人は答える。


「まぁ隠していたワケじゃないんだけど」


「私達は筋肉フェチなのさっ」


「筋肉フェチ……ですか」


 筋肉のある体は男でも憧れであるため、わからなくもない。男と女ではまた見るところや感じ方が違うだろうが。


「私は細マッチョ。龍生先輩とか幸隆みたいな」


「私はゴリマッチョ! 佳祐先輩とか康太先輩みたいな!」


 とそれぞれに好きなタイプを語る二人。キラキラと目が輝いているように見える。


「大会で着るユニフォームは体のラインがくっきり見えるから好きなんだ」


「そうそう! だから大会が楽しみでさ!」


 なるほどレスリング部のマネージャーになったのはソレも理由の一つなのかもしれない。


「男の体を見るのが好きなんですね」


「何その言い方」


「間違ってはいないけど何かその言い方やだ!」


 いつもからかわれ気味のマネージャー二人。逆にからかいつつ今日の練習は終わった。

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