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フリースタイル  作者: カブリネコ
過去の後悔をふりきって
14/71

仲間

 

 一年生とは一緒に練習をしないつもりでいた。他の者より二ヶ月早く入部した分、その差を埋められるような者が現れるとは思えなかったから。


 どうせ周りは自分に着いてこれなくなる。技術も気持ちも。

 そう思いながら迎えた入学式から数週間たった。


 予想に反して、もしかすると着いてこれる奴かもしれないと思った一年生がいた。


 練習初日から、時間外まで練習をし続けようとした海生。


 しばらく練習を見ていたが、練習に打ち込む姿勢が他の者と違う。


 今はまだ実力がついていなくても、いずれ必ず追い付いてくる。そんな予感がした。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 学校が終わり、部活に行くため体育館の横を通りすぎようとした際、海生を見つけた。なにやら他の学生に絡まれているように見える。


「お前レスリング部に入ったんだって? まぁレギュラー入れなかったしなあんなに長くやってて」


「バレーボールはもう続けられないよなぁ。お前はさぁ」


 少し様子を見ていると、どうやらバレーボール部の部員らしい。二人の学生が海生と話している。


「うんそうだね。だからレスリング部で頑張ることにしたよ」


 そういう海生に、なおも続けようとするバレーボール部員に、幸隆が止めに入った。


「少なくてもお前らより実績とか作れると思うぜ海生は」


 いきなり出てきた幸隆に、バレーボール部員と海生は驚く。


「幸隆……」


 何も言えずにいる海生に、バレーボール部員が返答を返す。


「これでもうちのバレーボール部強いんだぜ? 実績で勝つなんて言っていいのかよ」


 確かに通天高校のバレーボール部は強いと聞く。だが幸隆はそれでも引き下がらない。


「あんた一年生みたいだけどスタメン入ってんの?」


 うぐっという声が小さく漏れる。どうやら入ってはいないようだ。


「まぁ入ってたとしても海生の方が実績残せると思うけど、試してみるか?」


 強気の姿勢を崩さない幸隆に、バレーボール部員の一年生二人はたじろぐ。

「幸隆もういいよ」


 バツが悪くなったらしいバレーボール部員二人は、海生の言葉と共にその場から退散していった。


「言っておくけど海生。俺は本気でそう思ってるからな」


「ありがとう頑張るよ」


 照れ臭そうに笑いながら答える海生に、幸隆も笑いながら返す。


「良いねお二人さん」


「いやぁー良いもん見せて貰ったわーへっへっへ」


 飲み水を入れるキーパーに氷を入れるため、体育館にある製氷機のところまで来ていた美優と優香の二人。影に隠れて一部始終を見ていたらしい。


「特に幸隆は偉いぞ」


 頭を撫でようとする美優の手を幸隆はガードし、


「なんでもかんでも頭を撫でようとするのやめてください」

 と言い、ぷいっと横を向いた。


 むぅ……と不服そうな美優を横目に、


「ツンデレかい? ツンデレなのかい? それはそれで萌えるから良いよ!」


 と優香がニヤニヤしながら幸隆を覗き混んでいた。


 海生は笑いながら、練習をこれまで以上に頑張る決意を固めていた。

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