生の自分
「てめー」「まぁまぁ」と斗真とやりとりしながら教室に向かっていると、他のクラスの生徒が「斗真、黒板」と慌てて走ってきた。
「あ、どうも私が黒板・敬です。よろしく…って誰が黒板じゃごら」
「どうした?黒板ちょっと黙ってろ」
「はい…あ?斗真今なんて?」
「お前らのクラスの和馬と凌が喧嘩して大変なことになってるぞ」
「またあの2人か敬行くぞ」
「お、おう…スルーなのね…」
教室に着くと2人の喧嘩はまだやっており、止めに入ろうとしている生徒もいるが、2人の喧嘩はとても激しく困難だ。里菜や女子達も「やめて」なと声をあげているがやめようとしない。いや、聞こえてないのかもしれない。2人とも顔や腕に血が出ており、終わる気配がない。「先生は?」と斗真の問いに生徒は「今友達が行ってる」と答えた。
「どうするの斗真」
「どうするって…行くぞ敬」
そう言って斗真は2人に入っていった。
「おいまて…あーもう、お前らも手伝ってくれ」
そう言ったが、誰も出ようとしない。それもそうだ。こんな喧嘩に入るとなると勇気がいる。
その時、1人の女の子が2人の喧嘩の止めに入っていった。麻里だ。しかし和馬が邪魔だと言わんばかりに、麻里を飛ばした。
「おい麻里大丈夫?」
「須藤君…2人を止めて」
麻里は必死に涙をこらえ訴えてきた。女の子が止めに入ってるのに全くやめない2人に俺はとても腹が立った。
「お前らいい加減にしろ」と言い俺も斗真に混じり止めに入ろうとした時、斗真が凌を押さえて2人を離れさせた。
「だいたいテメーが悪いんだろ」
と和馬が向かって叫んだのは、喧嘩相手の凌ではなく、麻里だ。
え?何?喧嘩の原因って麻里が関わってるの?俺は麻里を見た。麻里は涙を流し、下を向いていた。
こんどは周りにいた生徒が、騒ぎだした。和馬を見ると金属バットをもっていた。「やめろ和馬。敬、和馬をとめろ」と斗真の声も聞こえた。しかし、それは一瞬の出来事。和馬は、バットを振り上げ、麻里に向かって振り降ろした。俺は麻里全体を包むように、かばった。
そして俺はこの瞬間で、意識がなくる。
そして死んだ。
とてもあっけなく死んだ。好きな人にも告白することもできず。