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あの日とあの場所へ   作者: かけっち
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生の自分

「イケメンになりてー」

空を見上げて呟いた。

「なんだ急に?」

友人の佐山斗真(さやまとうま)が「は?」という表情で見た。

「いや言葉のままだよ。イケメンになっていろんな女の子と付き合いてーよ。」

「いや、イケメンにならなくても女とは付き合えるだろ。それに(けい)は普通にイケメンだ。」

斗真は悪意もなくそう言った。俺、須藤敬(すどうけい)と斗真とは小学生の入学の時からの親友で中学、現在の高校2年までやく11年間同じクラスだ。そんなことあるの?と思う人がほとんどだろう。しかし本当だ。なぜなら俺と斗真の住んでいる地域はド田舎なので小、中ずっと1クラスしかないのだから。

高校はほとんどの生徒が地元の県立高校を受けるのだが、俺も斗真も新しい友人、都会に憧れを持ち、「お母さま~」といいながら土下座(盛りましたごめんなさい)をして、街中の私立高校の受験の許しをもらい合格をした。そして今にあたる。

「斗真よ、もう少し嫌みっぽく言えよ」

斗真はとてもカッコいい。中学の頃はそりゃもう人気だ。バレンタインデーの時なんてほとんどの女子が斗真にあげていた。バレンタインデーなんて斗真のためにあるようなものだった。俺らが3年生のときには全ての女子が斗真にチョコをあげた。俺の通った中学校の全校生徒は67人そのうち女の子は26人いた。しかし、なぜかチョコが28個あり、あと2人は誰だと騒ぎになった。「先生じゃないのか」や「いや幽霊だろ」さらには「いや男だろ」などと色々な所でその話になり、ついには学校新聞にも取りあげられた。実は俺が斗真にいたずらでこっそり2個を斗真のロッカーにいれたのだ。あとでネタばらしをするつもりだったが、予想外に大騒ぎになったため言えずこれは伝説になってしまった。おっと話がそれてしまった。

「嫌み?いや俺は本当のことを言ってる敬はカッコいいぞ」

「やめろよ、照れるだろ」

「いや、まじで。俺が女の子だったら付き合ってもいいレベルだぞ」

「たく、お前ってやつは。あとで5万円やるよ」

「敬を誉めるといつもそれ言うよな。もう累計200万円は言ったぞ」

そんなやりとりをいつもやっている。

それにと言い、斗真は空を見上げ言った。

「敬なら麻里(まり)と付き合えると思うけどな~」

麻里とは山下麻里。俺と同じクラスの女子だ。そう、俺は麻里のことが好きなのだ。

「あのな~斗真。俺はお前ほどカッコよくないんだぞ。」

「またそこに戻るのかよ。麻里には彼氏いないんだろ。チャンスだろ、ぐずぐずしてると他の男にとられるぞ。」

「う……それは…やだな。」

「今年の夏休みこそ、麻里を花火大会にさそえよ。」

「が、頑張ります。」

「ほんとかよ。」

そんなやりとりをしていると体育館と教室を繋いでいる通路から女子達が出てきた。よく見たら俺らのクラスの子達だ。その中に麻里もいる。

女子達は俺と斗真に気付き、手を振ってくれた。多分、斗真に、だろうが。

「とーまー、、けいー、授業はじまるよ~」

そう言ったのは、三森里菜(みもりりな)。誰とでも仲がよく女子の中のリーダー的な存在の子だ。何人かから「里菜様」と呼んでる。

「あ~先生にサボるって言ってくれー」と俺が言うと「俺もー」と、斗真も続いていった。

「あのね~クラスリーダーと黒板係がサボるって馬鹿なの?」

そう、俺ら2年5組のクラスはリーダーが斗真であり、黒板……あ?

「おいまて、何で俺は黒板係なんだよ?」

「え?敬って黒板係じゃないの?」

「ばかやろー。俺はリーダーの斗真を支える副リーダーだ。」

「お前俺を支えるどころか、倒してるだろ。ていうか、お前みんなの提案を黒板に書く仕事しかしてないだろ。」

「お前までそれを言うか?」

女子達は笑い、「ほんと2人は面白い」など言っている。麻里も笑っくれてる。

「あ、そうだ。女子達は花火大会いくの?」

「もちろん。行くよ、このメンバーで。斗真と敬は?」

「男同士でいくのもなぁ?」

「なぁ」

俺と斗真は顔を合わせる。

「じゃあ、私達とどう?」

「え?いいの?」と斗真が言うと

里菜が、「いいよねみんな?」の問いに「いいよ」、「もちろん」などが聞こえた。麻里も「うんうん」とうなずいている。

「敬、どうする?」

「お、おう。」

「じゃあ、お邪魔するよ。」

すると女子達は「いえーい」などはしゃいでいた。俺も「うぉぉぉ。麻里と花火大会きたー」と心の中で叫んだ。その時、里菜が俺に、「耳をかせ」とジェスチャーをしてきた。耳を里菜の方に傾け小声で「感謝してね。麻里とうまくやりな。」と言ってきた。

俺が「はぁー?」と言う前に逃げるかのように、里菜達は「じぁあね~」といい、教室に帰っていった。

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