三章 前編 ユメ ノ ハジマリ
三章 前編 ユメノ ハジマリ
突然、立派な軽装備の、見るからに兵士である人がルーカスを訪ねてきた。持っている剣はとても長く、その兵士の決して大きくはない背丈とほぼ同等ぐらいではないだろうか。
「ここにルーカスさんはおられますか?」
再度、シェリとルーカスに向かって問う。
「自分がルーカスですけど…どうかしましたか?」
ルーカスがそう言うと、兵士はゴソゴソと懐を探り始めた。そして、綺麗な紙をルーカスへ差し出した。
「ルーカスさん、やっとお会いできました。国王様が、是非ルーカスさんとお会いしたい、と。これが招待状です。詳しいことはこちらに書いておりますので。では、王都の城で待っております。」
兵士はやや早口に、用件だけをルーカスに告げるとそそくさともと来た道を帰って行った。ルーカスとシェリは唖然としていたが、ルーカスが口を開いた。
「王都、か…どうしようか。」
ルーカスがそんなことを呟いた。それを聞いたシェリが大慌てで
「行かなきゃだめだよ!だって国王様だよ?!国王様に呼ばれるなんて、すごいことなんだよ!!是非行くべきだよっ!記憶の手がかりとかあるかもしれないし!それに…」
シェリが言いかけて急に黙ってしまった。
「…それに?」
ルーカスはシェリに問いかける。しかし、核心的な答えは聞けなかったのだった。
「気にしないでっそれより、王都まではどうやっていくつもり?」
ルーカスは内心、シェリに流されてるなぁ、と感じながらもそんなシェリとの関係を心地よく感じていた。だからルーカスは、その強引なシェリに判断を任せていた。
「んー、歩いてかなぁ」
ルーカスは真面目に答えたつもりなのだが、シェリは呆れ顔をしていた。
「はぁ…ルカ君ってほんと抜けてるよね。まぁそんなとこもいいんだけどさぁ…」
シェリがブツブツなにかを言っているが、それはルーカスには聞こえなかった。
「とりあえずさシェリ、村長さんにいろいろ聞いてみるよ。行き方とか距離とか方角とか。」
シェリはまだブツブツなにかを言っていたので、ルーカスはシェリをひとまず放置して、村長のところへ向かった。
「王都へは長い道のりじゃぞ?ほんとにいくのか、ルーカスよ。」
村長にあらかたの説明をしてもらい、そして最後に村長が、ふとルーカスへ尋ねた。しかし、ルーカスには迷いや不安といった感情は全くない。それはなぜか。ルーカスは’’彼女''がいるからだ、と自分で理解してる。
「大丈夫です。いろんなところを見てみたいんです。この国のいろんなところをみて、いろんなことを感じてみたいんです。」
ルーカスには記憶がない。だからこそ、たくさんのことをみたり経験したりして、その内からくる寂しさを紛らわそう、そう思っているのだろう、そう考える村長であった。それと同時に、元々村に''捨てられていた''シェリが拾ってきたルーカス。そんなルーカスのことを少なからず気にかけていた村長であったが、ルーカスがそう言う以上、止めることはできないと感じていた。
「そうか、ならしかたない。それで、いつ出発するんじゃ?」
「明日の昼前には、出ようと思っています。それから、亜人の集落を中心にすこしずつ王都を目指そうと思います。」
村長は、すこし考え込むようにしていたが、またすぐに口を開いた。
「明日の出発までに、お主に渡したいものがある。出発までには用意しておく。今日はひとまず明日の準備でもしなされ。」
と言い、村長は部屋の奥に消えて行った。ルーカスは特に疑問に思うことなくシェリのいるはずの家へと帰った。なぜなにも疑問に思わないのか、それは村長が''元冒険者''ということをしっていたから、だった。
家に帰り着くと、シェリが大きな荷物を2つ、用意していた。
「シェリ、ただいま。その荷物、どうしたんだ?引越しでするのか??」
「ちがうよーっ!どうせルカ君のことだから、明日にも出発するつもりでしょ?だから準備しないきゃって。」
「そうか、ありがとうシェリ。…しかし、それにしても多すぎやしないか?」
とても持てる量とは思えない程の荷物、よくよく見ると食べ物がほとんどなのだが、実際持ってみようとしたが、とても持ち上がらない。
「シェリぃ…少し、いや、だいぶ重いんだけど…減らしていい?」
「だめよっルカ君、お料理とかできないんだから、簡単に食べられるものたくさんの持っておかないと!途中で飢え死にとかしたらやだからっ!」
ルーカスは少し戸惑っていた。
(シェリも一緒に王都まで来てくれると思ってたのになぁ…)
そんなこんなで荷物をまとめ、早めに布団に入る2人であった。
続
どうも、おはようございますこんにちわこんばんわ、月のこと蝶です
えー、今回に限らずなんですが、この夢が代というシリーズ、全てにおいて説明の描写があまりありません。
理由はいくつかありますが、
一番の理由としては、固定的なイメージではなく、自由な想像の中の世界を楽しんでほしい、ということです。
説明の描写が多いと、その分シナリオがわかりやすかったりとか、あると思うんですが
それじゃ、ワクワク感がないというかなんというか…w
この物語の主人公はルーカスですが、この主人公の姿、そしてヒロインのシェリの姿、この世界の姿、全てが自分の想像で作り出せるわけなんですよ
自分でその世界に入りこんで、実際にルーカスとシェリと行動してってしたら、きっと説明の描写なんて、むしろ不要だと考えています。
まぁ、また後日ですが、挿絵等もUP(共同制作者に依頼してます)する予定ですので、あくまでも一礼として、捉えてみてはと思います。
長くなりましたが、次回はいよいよ冒険の始まりです。
楽しみにしてまっていてください。
最後までお付き合いありがとうございました






