第2話 高校入学、不登校、中退あるいは不滅の黄金(1)
4月、高校に入学した私は自転車で片道30分かけて旧国道を走っていた。
家からすぐ近くの農業高校とどちらにするか迷って、商業高校を選び、こうして汗を流しながら走っている。
部活に入らなければならないのでソフトテニス部に入った。
簿記を学び、放課後は部活をし、20時ごろに帰宅する生活を送っていた。
女子が多く男子が少ない学校で、私は3人しかいないクラスメイトの男子の中から代表に選ばれた。
クラスの代表を集めた合宿なるものにも参加した。
中学の頃の生活とは全然違っていた。
人間関係も。
担任の先生は若い女性で、黒いスーツを着ていて、背が高かった。
先生になりたてという感じだった。
張り切っているのが分かった。
私も彼女に何度も笑顔で話しかけられたりしたのを覚えている。
ある時なにかの催しでバレーボールをやる事になり、私は同じチームになった。
私は小学生の頃にバレーボール部をやっていた。
だからというわけではないが先生があげたボールを打った。
点を取る事ができた。
先生は嬉しそうに「心が通じ合った」と言っていた。
私も嬉しかった。
5月のゴールデンウィークが過ぎた頃、私は学校に行くのが怖くなった。
きっかけは覚えていない。
中学二年生の頃から人間関係が難しくなって、友達が徐々に減っていって、高校に入る頃には仲のいい人物はいなくなっていた。
高校に入ってからはどうすればいいのか分からなかった。
新しい人々に私は話しかける事もできず、同じ中学から進学してきた人々とはほぼ交流が無かった。
それでもクラスや部活で可能な限りのコミュニケーションのようなものをとった。
話しかけられれば答えた。
しかし私は自分でも思っていた以上に駄目になっていたのだろう。
結局は高校に馴染む事ができなくなった。
母親に学校に行きたくないと言ったのか体調不良だと言ったのか。
私は休み、そして「学校に行ったらどう思われるか?」という考えに取りつかれた。
だからまた休み、そしてますます学校に行くのが怖くなった。
悪循環だった。
しかし抜け出す事ができず、ついにおかしいと思った両親と先生に説得されて学校にたまに行くようになった。
クラスメイト達も私のおかしさにはとっくに気付いているはず。
私は怯えながら一日を過ごした。
授業は全く頭に入らなかった。
当時学んだ事は今は何も覚えていない。
簿記の教科書を少しは読んだはずなのに。




